DRAM市場シェア(決算説明会資料より)
 エルピーダメモリの2005年度第1四半期(2005年4~6月)決算は営業赤字に転落した(PDF形式の発表資料)。売上高は対前年同期比5.5%増の480億3600万円だったが,26億400万円の営業損失,33億円の純損失を計上した。赤字は,DRAM価格の下落などによるものという。ビット換算の出荷量は直前の四半期から12%増加したものの,平均販売単価は直前の四半期から15%下落した。

 価格の下落幅が最も大きかったパソコン分野の売上高は前年同期から約4割落ち込んでいる。これをカバーしたのが,デジタル家電と携帯電話機向けである。同社はこの分野で第1四半期中に新規顧客8社を獲得,同分野の売上高は対前年同期比66%増と大きく伸長した。エルピーダはDRAM市場に占めるシェアを,携帯電話機向けで70%,デジタル家電向けで30%,サーバ向けで25%,パソコン向けで3~4%と推計している。

売上比率の推移(決算説明会資料より)

 同社は2005年度下期の市場予測を示した。これによると,DRAM市場はビット換算の出荷量で45~50%の成長が見込めるものの,価格が30~40%下がるため,金額ベースの市場規模は0~5%程度の成長にとどまるという。分野別には,デジタル家電向けが金額ベースで30~40%程度,拡大し,携帯電話機向けが約2.5倍の市場に成長すると予測する。ブラウザや音楽プレーヤ機能を搭載するハイエンドの携帯電話機の出荷量が増え,これにともなって同市場向けDRAMの需要も増すとみている。

 エルピーダの平均販売単価は2005年度通期で30%の下落を見込んでいる。ビット換算の出荷量は対前期比80%増の見通し。通期で売上高2600億円(対前期比26%増),営業利益186億円(同23%増)と予測している。ただし,第2四半期(2005年7~9月)の売上高は520億円~570億円,営業利益は−35億円~+5億円と予測しており,中間期は赤字決算になる見込み。

 エルピーダは広島エルピーダに建設中の300mmウエハー対応工場「E300」について,増強計画を前倒しすることを明らかにした。E300では最終的にウエハー投入量で6万枚/月の量産規模を目指すが,従来は2005年度末時点で4万5000枚/月とする計画だったところ,今回,同年度末で5万4000枚/月へと計画を修正した。90nmルールの採用率も高め,2005年12月時点でE300の50%とする考えだ。

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