NTTドコモの石川副社長
NTTドコモの石川副社長
[画像のクリックで拡大表示]

 2005年7月13日に開幕した「ワイヤレスジャパン2005」の講演会には,NTTドコモからは代表取締役 副社長の石川國雄氏が登壇した。同氏がまず言及したのが,第3世代移動体通信(3G)サービスの現況だった。2005年5月末における世界のW-CDMA方式による3G契約者2659万中,日本が1400万,そのうち1288万をNTTドコモの「FOMA」が占めるなど,世界の3G市場を牽引していることを強調した。日本以外では,イタリアが510万契約,英国が379万契約と突出しているのが目に付く。

 NTTドコモのFOMAの契約者は「数日前に1400万を突破した」と報告,「2005年度末にはおおむね50%がFOMAになる」という年度初めの予測に向けて順調に推移しているとした。
 
 同氏は,FOMAの開発投資額などについても言及した。「FOMAの開発費は4000億,設備投資はそれ以上で,これまで1兆4000億を投資してきた」という。投資額に言及した真意は不明だが,「新規参入に伴う設備投資額は3000億円程度を考えている」(イー・アクセス 代表取締役社長 兼 COOの種野春夫氏)という新規参入事業者などに対して,同社の過去の貢献度を誇示する狙いがあるものとも感じられた。設備投資額に加えて同氏は,屋内外の基地局の増設傾向を取り上げ「基地局の充実は通信事業者の義務であり,当然」と強調した。

 同氏の講演タイトルにある「ユビキタス社会の実現」に向けた取り組みの一例として紹介したのが「組み込みモジュール」。小型モジュールを家電や機械,クルマに搭載して,「物と物」の通信を実現するものである。具体例として,自動販売機の検量や自宅の遠隔監視を紹介した。自宅の遠隔監視では,小型カメラや各種センサを搭載する端末を置き,必要に応じて自宅と通信できるようにする。防犯以外にも,ガス漏れなどもチェックでき「安心・安全」を提供したいとした。

 このほか,現行サービスの延長と位置づける,2006年導入予定のHSDPAや100Mビット/秒クラスのSuper3G,さらに新しい周波数帯を利用する4Gなどのネットワーク・サービスの進化に向けた取り組みも紹介した。

Super3Gなどの規格概要や4Gに向けた取り組みを紹介
Super3Gなどの規格概要や4Gに向けた取り組みを紹介
[画像のクリックで拡大表示]