横浜国立大学と日立製作所は,自動車関連技術を中心とした分野において,共同で研究開発などに取り組むことで合意し,包括連携協定を締結した(発表資料)。横浜国立大学にとっては8件目,日立製作所にとっては10件目の包括連携だが,どちらも自動車分野に特定したのは初めてという。日立製作所は2010年頃にハイブリッド自動車やITSなどが普及すると考えており,そのために必要な技術の研究開発を目指すとしている。

 今回の連携は,横浜国立大学に自動車関連技術のシーズが揃っていることがキッカケとなった。2010年の自動車に必要となるテーマを3つ挙げていて,それぞれの研究を担当する教授もほぼ決まっているという。テーマの1つである環境問題については,省エネルギー自動車や,硫黄酸化物やばいじんをわずかしか含まないクリーン排ガスの実現を目指して既に取り組みが進んでいる。横浜国立大学大学院工学研究院教授の田中裕久氏を中心に,エンジン・シリンダ内の燃料噴射制御性能を向上させる技術の開発を行う予定。

 燃料電池もテーマの1つである。車載用燃料電池では使用する触媒の量が多いため,高価な白金触媒の代わりに必要になる非白金系触媒の開発を計画している。横浜国立大学大学院工学研究院教授の太田健一郎氏が担当する。この研究については,同大学と日立製作所だけではなく他の大学や企業も一緒に参加するプロジェクトを発足させ,共同で研究開発できる体制作りを目指す。また,もう1つのテーマである自動車の安全のためのITS分野では,同研究院教授の眞田一志氏がナビゲーション協調制御技術などを共同で研究する予定だ。

 日立製作所によれば,同社が今までに締結した協定と同様の仕組みを採る。個々の共同研究,受託研究については,研究内容ごとに大学と企業との寄与の程度などが異なるので知財の取り扱いなどについて別々に契約する。一定の研究期間を設定し,1年ごとに進捗状況や成果をチェックして問題がなければそのまま契約を更新する。