緊急警報信号の多重場所と専用受信回路の仕様
緊急警報信号の多重場所と専用受信回路の仕様
[画像のクリックで拡大表示]
専用受信回路の試作ボード
専用受信回路の試作ボード
[画像のクリックで拡大表示]

 NHK放送技術研究所は,携帯機器向け地上デジタル放送に組み入れられている緊急警報信号の受信回路を開発した(展示内容の紹介ページ)。同信号は津波の発生といった非常時に,携帯機器を自動的に起動させるために使う。通常放送と異なり,常時信号を待ち受けるので消費電力の抑制が課題だった。

 開発した専用受信回路の消費電力は1mW~5mWである。通常放送のチューナの消費電力は「30mW~150mW」(NHK放送技術研究所)という。消費電力を減らすため,RF回路を間欠動作させる。また,緊急警報信号が多重される搬送波も限られるのでFFT(fast Fourier transform)を使わずにその信号を検出するといった工夫を盛り込んだ。ベースバンド処理回路のゲート数は通常放送の1/3未満という。

 NHK放送技術研究所は,半導体メーカーなどの協力を得て今回の受信回路を実用化する考えである。「協力先を早く決めて,携帯機器向け地上デジタル放送が始まる2006年春に間に合わせたい」(説明員)という。