実現スケジュール
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フェーズド・アレイ・アンテナのRF部
フェーズド・アレイ・アンテナのRF部
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 NHK放送技術研究所は,画面画素数が7680×4320とHDTVの16倍に相当する「スーパーハイビジョン」の実現スケジュールを2005年5月26日~29日に開催中の「技研公開2005」で明らかにした。これまでもスーパーハイビジョン対応のカメラを試作したり,映像の再生を実演したことはあったが,導入の具体的なロードマップを見せたのは初めて。ただし,スケジュールはあくまでNHKとしての目標で,放送開始が確定したものではないという。

 本放送までのスケジュールは具体的に以下の通り。まず2008年までに家庭に向けた伝送システムの試作と実験を終える。次に2011年までに家庭への放送技術を確立する。2015年には実験放送を始め,2020年までに家庭用のディスプレイや音響装置を開発する。2025年ごろには本放送を始めたい考えだ。2025年は放送(ラジオ放送)開始100周年に当たる。

21GHz帯の衛星放送を提案

 伝送手段は21GHz帯(21.4GHz~22.0GHz)の衛星放送を提案する。日本全国を1つの衛星でカバーできる上,利用できる帯域が広いためである。帯域幅は600MHzで,仮に独占的に占有すれば500Mビット/秒~600 Mビット/秒を伝送できる。ただし,21GHz帯で信号伝送を行った場合,降雨による信号減衰が従来よりも激しいという課題がある。今回は,降雨データから信号減衰が激しいと見られる地域にはビームを増力して送信するシミュレーションを見せた。このほか会場では21GHz帯のフェーズド・アレイ・アンテナのRF部も見せていた。