PalmSource社の前president兼chief executive officer,directorを務めていたDavid Nagel氏
PalmSource社の前president兼chief executive officer,directorを務めていたDavid Nagel氏
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 米サンノゼ市で開催中の「Palm OS」を搭載する携帯機器関連の開発者会議「PalmSource Mobile Summit & DevCon 2005」で,Palm OSを開発する米PalmSource, Inc.とPalmブランドの携帯機器を手掛ける米palmOne, Inc.は2つの契約を結んだと発表した。まず,palmOne社は同社製携帯機器にPalm OSを2009年末まで採用するために,PalmSource社に最低1億4850万米ドルのロイヤリティを支払うことで同意した。さらに,「Palm」ブランドの独占採用権を取得するためにpalmOne社はPalmSource社に3000万米ドルを支払う一方で, PalmSource社は今後4年以内に新しいブランドを立ち上げることを決めた(発表資料)。

 palmOne社がPalmブランドを買収するキッカケとなったのは,両社が共にPalmブランドを扱うことに難しさがあったためとする。特にPalmSource社はPalmブランドを多くの機器メーカーに幅広くライセンスする意向だったが,palmOne社の機器と市場でぶつかる機会が増えるため,機器メーカーが抵抗感を抱いていたという。さらに,PalmSource社は新しいブランドを立ち上げることで,日本市場を再生できる可能性があるとみている。「日本市場の要求に対応するためには,適切なパートナーと組むことが不可欠だ。新しいブランドがパートナーシップを組む際の一助になるもしれない」(同社のinterim chief executive officerであるPatrick McVeigh氏)。

Palm OSの未来は無線端末とLinuxに懸かっている


 会議の前日,PalmSource社を退社すると発表した前president兼chief executive officer,directorのDavid Nagel氏は基調講演の中で「Palm OS搭載機器の未来は,無線端末とLinuxに懸かっている」と主張した。現在,Palm OSはPDAよりも,複数の機能を搭載した携帯電話機やスマートフォンに主に搭載されているが,こうした状況が変わる可能性があるという。PalmSource社は2004年12月に買収すると発表した携帯電話機向けソフトウエア開発会社である中国China MobileSoft Ltd.が,Palm OSをスマートフォンよりも1ランク下の携帯電話機に普及させるために重要な役割を果たすようになるとする。

 PalmSource社はChina MobileSoft社を買収した際,時期は未公開だがPalm OSをLinux上に移植することを発表している。携帯電話機メーカーは独自のOSを開発するのは負担が大きいと主張しているものの,「米Redmond市に本社を置く企業(注:暗に米Microsoft Corp.を指している)ソフトウエアを採用すると,端末の売上マージンは15%まで落ちる。他の選択肢もあるが,それはPalmSource社の競合相手(注:暗に英Symbian Ltd.を指している)のものだ。携帯電話機メーカーはオープンなOSを望んでいるので,5年後には携帯電話機の多くはLinux上で動作していることになると思う」(PalmSource社のMcVeigh氏)。China MobileSoftのリソースを使えば,Linuxを一般の携帯電話機に移植することが可能という。