図1 1080i方式のHDTV対応ハンディカム「HDR-HC1」
図1 1080i方式のHDTV対応ハンディカム「HDR-HC1」
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 ソニーは,1080i方式のHDTV対応品としては世界最小のビデオ・カメラ「HDR-HC1」を開発した(発表資料)。外形寸法は188mm×94mm×71mm。「500mlのペットボトルに近い大きさ。ペットボトルのように,手軽に持ち運べる」(同社)という。同社従来品の「HDR-FX1」に比べると容積は半分以下で,本体質量は1/3程度の約680g。DV方式のテープに映像を記録する。「ハンディカム」シリーズの新機種として,2005年7月7日に発売する。価格はオープン。店頭予想価格は,実売価格が約40万円の従来の1080i対応品に比べると半分以下の18万円前後になるという。実売価格で10万円前後の小型ビデオ・カメラと比べると高価だが,小型ビデオ・カメラとしては唯一の1080i対応品になるため,同社は製品の訴求力は高いと主張する。従来の1080i対応カメラに比べ,値段もサイズも手頃にし,多くの人が簡単に使えるカメラを目指したという。

 今回の製品は,搭載するCMOS型固体撮像素子(以下,CMOSセンサ)を1枚使う単板式にしたり,搭載したプリント配線基板の枚数を従来の5枚から3枚に減らしたりすることで小型化した。CMOSセンサについては,1/3インチ型で総画素数が297万画素の品種を新たに開発した。従来品は1/3インチ型で総画素数が112万のCCD型固体撮像素子(以下,CCD)を3枚使う3板式だったが,筐体を小型化するために搭載する撮像素子を減らさざるを得なかったという。CCDでは「読み出し速度が遅く,1080i方式に単板で対応するのは無理がある」(ソニー)ので,CMOSセンサを採用した。

プリント配線基板の総面積は従来品比で約60%減

 プリント配線基板については,実装するLSIなどの部品配置を最適化したほか,個別部品で組んでいたアナログ回路をIC化したり,電源回路全体の見直したりすることで枚数を減らした。同社従来品の「HDR-FX1」に比べ,今回の製品は各種撮影機能をマニュアル設定できる個所を省き,操作ボタン数や部品点数を減らしたことも,機器の小型化に効果があったという。これらの工夫により,プリント配線基板の総面積は従来品に比べて約60%減った。

 CMOSセンサ以外の基幹LSIについては,既存のビデオ・カメラに搭載してきた品種を流用した。例えば,MPEG-2符号化を実行するLSIには従来の1080i対応品に使ってきた「HDコーデックエンジン」を使う。画像処理エンジンには,CMOSセンサ搭載のビデオ・カメラ「DCR-PC1000」に採用済みの「エンハンスド イメージング プロセッサー」を用いる。

 そのほか,今回の製品は,レンズには37mm径のドイツCarl Zeiss社製レンズを使用し,光学10倍ズーム可能。連続駆動時間は,最大容量のバッテリー(ソニーの「インフォリチウム」Mシリーズ)を使用時で5時間程度であるという。なお,静止画は280万画素で記録できる。

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