商用化に先立ち,2005年5月下旬にも東京都内で1.7GHz帯を用いたW-CDMAの実証実験を始める
商用化に先立ち,2005年5月下旬にも東京都内で1.7GHz帯を用いたW-CDMAの実証実験を始める
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 イー・アクセスが携帯電話事業への参入を前に,現預金を着々と積み増している。2005年5月12日に開催した単独決算発表の記者会見で,2004年度(2004年4月~2005年3月)末の現預金残高が1048億円に達したと表明した。同社は1.7GHz帯を用いたW-CDMA方式による携帯電話事業への参入を目指している。「2006年度までの設備投資や事業運営の資金として,十分な額を調達できた」(同社 代表取締役社長 兼 COOの種野晴夫氏)。

 同社の2003年度末の現預金残高は184億円だった。本業のADSL事業や,2004年7月に買収した「AOL」ブランドのISP(internet service provider)事業などを通じ,2004年度に89億円の税引前利益を確保した。加えて,2004年6月に転換社債で230億円,2005年3月に普通社債で600億円を調達している。

 現段階で公表している2005年度の設備投資計画では,実証実験用の人件費や機器代金として25億円を計上するのみ。しかし商用免許を取得し次第,追加の設備投資を実行する計画だ。ちなみに同社は,総務省による携帯電話事業の商用免許交付を,2005年11月~12月と予測する。

 同社が携帯電話事業に向けて必要とする資金の総額は「事業開始後の3年間で約3000億円」(種野氏)。手元の現預金を除いた残りの約2000億円は,「基地局設備を購入せずリースで調達したり,自社保有の通信設備を担保にした銀行からの借入金で賄ったりといった手法を検討している」(同社 代表取締役副社長 兼 CFOのエリック・ガン氏)。

 なお,同社の2004年度の単独売上高は579億円(対前年度比52%増),営業利益は93億円(同125%増),純利益は94億円(同296%増)。2005年度予想によると,売上高は585億円(同1%増),営業利益は70億円(同25%減),純利益は27億円(同71%減)。売上高は微増だが,携帯電話事業への設備投資25億円を営業損益ベースで計上するため,営業減益を見込む。累積損失の解消に伴い法人税の支払いが発生するため,純利益も減少するという(発表資料)。

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