ディスプレイ関連の標準化団体であるVESA(Video Electronics Standards Association)は,パソコンやAV機器などに共通して使えるディスプレイ用インタフェース仕様の策定に入った。「DisplayPort」と呼ぶ(発表資料)。2005年第3四半期に,同仕様と詳細を公開する予定である。

 このDisplayPortでは,映像信号やオーディオ信号を著作権保護機能付きで伝送することができる。パソコンやテレビ受像機,DVDレコーダといった機器の種類にかかわらず使えるインタフェースにすることを狙う。さらに,機器と外付けのディスプレイ間の接続だけでなく,機器に内蔵するディスプレイと映像表示回路の接続もDisplayPortに統一することを視野に入れているようだ。

 DisplayPortの技術は,約1年間前から大手メーカーなどが開発を進めてきた。具体的には,カナダATI Technologies Inc.や米Dell Inc.,米Genesis Microchip Inc.,米Hewlett-Packard Co.,米Molex Inc.,米NVIDIA Corp.,オランダRoyal Philips Electronics社,韓国Samsung Electronics Co., Ltd.,米Tyco Electronics Corp.である。今回のVESAの発表は,この技術を正式にVESAが標準化する意思を固めたことを示している。「開発に携わった企業は,著作権保護機能付きで,しかもどこにでも使えるインタフェース仕様が不可欠だ考えている」(VESAのExecutive DirectorであるBill Lempesis氏)。

小型ノート・パソコン向けにコネクタを小さく

 VESAは,ノート・パソコンの小型化・薄型化がさらに続く傾向を踏まえて,ディスプレイ・コネクタの物理的な大きさが今後,壁になりかねないと考えている。そこでDisplayPortでは「1枚のグラフィックス・カードに複数コネクタを搭載できるような,使いやすい小さなディスプレイ・コネクタを実現する」ことが目的の1つになっている。最大データ伝送速度のターゲットなどは現在のところ未公開だが,もっと高いデータ伝送速度が必要になったときには拡張可能な仕様になっているという。著作権保護技術に関しては,映像とオーディオを共に扱える。暗号化方式にはAES(advanced encryption standard)を採用する予定である。

 ディスプレイ用のデジタル・インタフェース仕様は,既に多くの種類が開発され,実際にそれに対応した製品が市場に出回っている。もちろんVESAは,そうした事実を認識しており,DisplayPortはそうしたほかの仕様と競争しながら普及を目指すことになると見る。その際の強みの1つとして,VESAのLempeisis氏は知的財産権を挙げる。「最初からはっきりした知的財産のポリシーの下に開発しているので,機器メーカーなどが採用するときには,それが競争力の1つになろう」(同氏)。