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米MTI社が軍事用途の燃料電池を開発,「スマート・ソルジャー」に向ける

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2005/04/28 14:06
蓬田 宏樹=シリコンバレー支局
開発した米軍向け燃料電池。右にあるのが実地で利用するセンサ機器を模擬したもの
開発した米軍向け燃料電池。右にあるのが実地で利用するセンサ機器を模擬したもの
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MTI社のスタッフ。左からJohn Cerveny氏,CTOのShimshon Gottesfeld氏,John R Sperling氏
MTI社のスタッフ。左からJohn Cerveny氏,CTOのShimshon Gottesfeld氏,John R Sperling氏
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 米MTI MicroFuel Cells Inc.は,軍事用途の燃料電池を開発,2005年第2四半期から米軍向けに出荷する。米軍で広範囲に利用されているという小型1次電池「BA5590」と同寸法にしながら,取り出せる電流容量を2倍に高めた。まずは,作戦地域での環境情報を取得する小型センサの電源向けに提供する。2005年第3四半期には,兵士の携帯機器向けにも出荷する予定。同社は2005年4月27日から米Washington D.C.で開催中の「Small Fuel Cells 2005」で実機を公開した。

 MTI社は,携帯機器向けダイレクト・メタノール型燃料電池を開発するメーカーで,既に米Intermec社のRF-IDタグ・リーダ用に製品を供給している。100%と高純度のメタノールをそのまま使うことで,燃料カートリッジを含めた場合のエネルギー密度を高くできることを強みとする。固体高分子電解質膜には米Dupont社のNafionを使い,製造には米Flextronics社を使うなど低コスト化に向けた取り組みを進めている。同社は民生機器向けの携帯型燃料電池の市場が将来には大きくなると見つつも,まずは明確な需要がある軍事向け製品の事業化に力を入れる。こうした利用でのフィードバックを通じて,燃料電池技術の特性改善を図り,将来の民生機器での広範な利用時のためにノウハウを蓄積するという狙いもある。

 MTI社が提供を開始するのは,米軍で広く利用されているLiSO2利用の1次電池「BA5590」の置き換えを狙ったもの。BA5590は米軍が年間30万個以上を消費するという携帯型の1次電池。兵士の装備の電源供給や,作戦地域での各種センサの電源として利用されているという。BA5590の主要なメーカーとしては,SAFT社,米EaglePicher社,米Ultralife Batteries社などが挙げられるという。

 BA5590は150Wh〜200Whの容量を備える電池だが,兵士の装備の電子化が急速に進んでいるため,電池容量の少なさが課題となっているという。「最近では『スマート・ソルジャー』という言葉に代表されるように,暗視カメラ付きヘルメットや位置測定用のGPS受信機,無線送受信機や,同僚兵士の位置をリアルタイムで表示するPDA,目標をレーザー光線を使って検出する『レーザー・ターゲット・ディテクタ』などの電子装備の利用が増えている。現行の兵士の装備では,消費電力は平均20Wである。150WhのBA5590では,最大で7.5時間しか持たない。1日使うには3つの交換用電池パックが必要になる。標準的な作戦行動は72時間なので,兵士は9つの電池パックを担ぎながら移動する必要がある。装備の軽量化のため,結果的に携帯する食料や水を減らさざるを得ない状況になっている」(米MTI MicroFuel Cells Inc. Director of Government Sales, John R Sperling氏)。

 米陸軍兵士の装備の平均消費電力は,あと数年で100Wに達するという予測もある。このため,高エネルギー密度の電池への需要が非常に高まっているという。「現行では1次電池を使っているため,使い終わった電池の回収などに多額の費用がかかっている。米軍は2次電池や燃料電池の利用によって,こうした回収費用のコストを削減したい狙いもあるようだ」(同社のSperling氏)。MTI社は,ここ数年が米軍の携帯型電池の一大転換時期と見ており,燃料電池の需要が今後さらに高まると見ている。「実際の米軍での利用が始まるのは2008年頃だろう。それから数年後には,多くの装備が燃料電池で駆動するようになる」(同社)。

 MTI社の開発品は,平均出力が150mW。間欠動作のセンサ機器での利用であれば,1回の燃料充填で約6カ月連続使用できるという。「BA5590では,その半分の3カ月程度だった」(同社 Director of Government Programs, John Cerveny氏)。重さは800g前後。体積当たりのエネルギー密度は1000Wh/l以上とする。電波送信時のピーク出力を稼ぎ出すために,2Whの2次電池も内蔵する。

 当初利用されるのは,取得した環境情報を1日に数回無線伝送するセンサ・ネットワーク機器の電源用途だという。このセンサ機器では,ピーク時の電流出力が1A程度である。例えば米軍はイラク地域において,作戦地域のビルに出入りする人間の数や,爆撃後の化学品工場付近の空気汚染度を測定するセンサなど,無数のセンサを敷設しているもよう。「これらのセンサの電池交換に行って,命を落とす兵士もいる。米軍関係者からは,とにかく高容量の電池を求める声が強い」(同社のSperling氏)という。

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