キヤノンは,2005年度第1四半期(1月~3月)の連結決算を発表した。売上高は8434億円(対前年同期比6%増),営業利益は1433億円(同7%増),税引前利益は1495億円(同10%増),純利益は931億円(同10%増)と増収増益を記録した(発表資料)。

 売上高を事業部門別に見ると,レーザー・プリンターやインクジェット・プリンターなどの「コンピュータ周辺機器」が2923億円(対前年同期比12%増)と大きく伸びている。レーザー・プリンターの売上台数は同30%,インクジェット・プリンターの売上台数は同14%と,それぞれ増加した。単価下落の影響を受けたものの,部門全体として増収を確保した。複写機などの「オフィスイメージング機器」の売上高は2751億円(同2%増)。ネットワーク接続機能を備えるカラー複合機を中心に堅調だった。

 この2部門を合わせた「事務機」部門の営業利益は1408億円(同13%増)で,営業利益率は24%だった。

デジタル一眼レフは40万台出荷

 「光学機器及びその他」部門の売上高も,同10%増と堅調。半導体用露光装置や液晶用露光装置が好調だった。営業利益は127億円(同8%増)で,営業利益率は10%。半導体用露光装置の出荷台数は44台(前年同期は33台),液晶用露光装置の出荷台数は29台(同35台)だった。

 「カメラ」は同2%増。2005年3月に発売したデジタル一眼レフ機「EOS Kiss Digital N」などが牽引役となり出荷台数は増加したが,コンパクト・デジカメの単価下落が響き金額ベースでは小幅な伸びにとどまった。営業利益は238億円(同18%減)と,事業部門別では唯一減益を記録している。それでも営業利益率は15%を確保している。EOS Kiss Digital Nをはじめとするデジタル一眼レフ機の出荷台数は40万台だった。

 このほか,為替レートが期初予想(1米ドル=103円,1ユーロ=135円)より円安に推移したこと,外形標準課税の適用により実効税率が0.7ポイント減少したことなどが,純利益増加に寄与している。

通期純利益を80億円上方修正

 同社は第1四半期の業績発表に併せて,2005年度通期(1月~12月)の連結業績見通しを上方修正した。売上高が3兆6500億円,税引前利益が5930億円,純利益が367億円。期初見通しに比べ,それぞれ200億円,130億円,80億円の上乗せである。

 同社では第2四半期以降も,「全般的には堅調に推移する」とみている。デジタル一眼レフ機やネットワーク機能付きのカラー複合機,液晶用露光装置などが堅調に推移すると予測している。

■国内企業の最新の決算はこちらからご覧いただけます。