図1 32インチ型ワイド液晶パネル搭載機種
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図2 キーボードとマウスは無線接続
図2 キーボードとマウスは無線接続
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図3 デジタル放送用チューナー・ボード。暗号化回路を備えたASICを搭載する
図3 デジタル放送用チューナー・ボード。暗号化回路を備えたASICを搭載する
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図4 録画時と視聴・再生時に別の暗号化処理を施す
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 「32インチ型液晶テレビとHDD搭載DVDレコーダ,パソコンの機能を1つにまとめて40万円を切るという圧倒的なコスト・パフォーマンスを実現できた」(富士通 経営執行役 パーソナルビジネス本部長の伊藤公久氏)──。富士通は,デジタル放送をHDTVのままで録画および再生できる,ディスプレイと本体を一体化したパソコンなど,据え置き型およびノート型パソコンの2005年夏モデルを発表した(据え置き型パソコンの発表資料ノート型パソコンの発表資料)。

 32インチ型ワイド液晶パネル搭載の「FMV-DESKPOWER TX90L/D」と,20インチ型ワイド液晶パネル搭載の「同LX90L/D」は,地上・BS・110度CSのデジタル放送を国内で初めて,HDTVのまま録画・再生できるようにした。デジタル放送を録画できるパソコンはNECが発売済みだが,再生時はSDTVにダウン・コンバートしていた。

デジタル放送チューナー・ボードに2種類の暗号化回路

 HDTVのまま録画・再生が可能になったのは,富士通が独自開発したASIC「セキュアLSI」によってコンテンツ保護機能を実装したためという。ピクセラと共同開発したデジタル放送対応チューナー・ボードにこのASICを搭載した(Tech-On!の関連記事)。このボードはPCIバスに挿入して使うもので,地上デジタル放送チューナーと,BSおよび110度CSデジタル放送チューナーを搭載する。アナログ放送チューナーとMPEG-2エンコードLSIを搭載するボードは別に備える。

 セキュアLSIは,2種類の暗号化回路を備える。1つはハード・ディスク装置(HDD)にデジタル放送の映像を記録するときに使うもの,もう1つはデジタル放送の視聴時や再生時に使うものである。視聴時や再生時にも改めてHDTV映像を暗号化してPCIバス経由でパソコンのメモリに転送し,ソフトウエアで復号化する。メモリ上に展開したHDTV映像を不正に複製できないように,メモリを監視する回路もセキュアLSIに集積した。パソコンのソフトウエアで復号化したHDTV映像は,PCIバスとは別に用意した独自仕様のバスで液晶ディスプレイに出力する。このため,パソコンのチップセット(米Intel Corp.製の「915GV」)と液晶ディスプレイの間ではコンテンツ保護の処理は施していない。