図1 ボールを動かすQRIO。デモ会場では「MINDY」の検証のほか,人の行動を真似るQRIO,人の発声を覚えることができるQRIOなど,いくつかの人工知能の動作デモを展示した
 QRIOの目の前にボールを置く。説明員がQRIOの手を導き,ボールを横に転がしてみる。
 「あ」
 とQRIOは声を上げながら,ボールの行方を不思議そうに目で追いかける。

 説明員が,再度ボールを目の前におく。QRIOはしげしげとボールを眺め,今後は,自分でボールを転がした。まるで赤ん坊が新しい遊びを覚えていくかのように,新しい動作を習得していく——。

 ソニー・インテリジェンス・ダイナミクス研究所は,2足歩行ロボット「QRIO」に向けた人工知能(AI)アルゴリズム「MINDY」を発表した。人間が手取り足とりで教示した動作を学習できるほか,学習した動作を修正して新しい動作を覚えることができる。同研究所は,ロボットの知性に関するシンポジウム「インテリジェンス・ダイナミクス・シンポジウム2005」で,QRIOを使った動作デモを披露した。

ベルを鳴らすQRIO

ボールを転がすQRIO

 犬型ロボット「AIBO」など従来のエンターテインメント・ロボットが見せる動きは,あらかじめ各関節の動きを詳細にプログラムしたものだった。このため,ユーザーは一度すべての動作を見てしまえば,新しい驚きを得られず飽きやすい。かといって動作の種類を増やそうとすると,動作プログラムの作成に莫大な労力がかかる。「AIBOを開発してみて『とんでもなく手間がかかるものを造ってしまった』と反省しました。何とか動作プログラム作成の手間を省けないかと考えたのが,MINDY開発の発端です」(同研究所 リサーチャー Sony MVP2003の佐部 浩太郎氏)。

自分で行動の目標を設定する