図1 デジタル・カメラの開発プラットフォーム
図1 デジタル・カメラの開発プラットフォーム
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図2  RFトランシーバ回路とベースバンド処理機能を備えるボード(左)と,MAC制御用のボード(右)
図2  RFトランシーバ回路とベースバンド処理機能を備えるボード(左)と,MAC制御用のボード(右)
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図3 Wireless USBで静止画データをパソコンに転送
図3 Wireless USBで静止画データをパソコンに転送
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図4 HDDを接続してパソコン周辺機器を模したボード
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図5  RFトランシーバ回路とベースバンド処理機能を備えるボード
図5  RFトランシーバ回路とベースバンド処理機能を備えるボード
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図6 周辺機器のHDDに格納された動画データをパソコンでストリーミング再生
図6 周辺機器のHDDに格納された動画データをパソコンでストリーミング再生
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 2005年4月7日~8日に東京で開催された「インテル・デベロッパ・フォーラムJapan 2005」では,Wireless USBでデータ伝送するデモが相次いだ。米Staccato Communications, Inc.と富士通は,デジタル・カメラの開発プラットフォームで撮影した静止画データをWireless USBでパソコンに伝送してみせた。NECエレクトロニクスはパソコンの周辺機器を模した開発ボードからWireless USBを使ってパソコン上でストリーミング再生するデモを見せた。

 Staccato社と富士通は,今回のIDF Japanでデモ展示することを先だって発表していた(Tech-On!の関連記事1)。富士通のデジカメ用SoCを搭載した開発プラットフォーム(図1)で撮影した画像を,Staccato社のUWB(ultra wideband)開発キット「Ripcord」(図2)を使ってパソコンに伝送するというものである(図3)。Ripcordは,RFトランシーバ回路とベースバンド処理機能を備えるボードと,MAC制御用のボードの2枚構成である。デジカメ開発プラットフォームとパソコンのそれぞれにRipcordを接続し,Ripcord間で静止画データを伝送して見せた。デジカメ開発プラットフォームとRipcordは,SDカード・スロットを通じて接続していた。

 このデモ環境を開発するに当たり,富士通はUSBコントローラを呼び出すためのAPIの仕様を決め,デジカメ開発プラットフォーム上で動くミドルウエアの開発を進めた。Staccato社と富士通は,Staccato社が開発したUWB用LSIを富士通が量産し,販売するという内容で提携している( Tech-On!の関連記事2)。「今回開発したミドルウエアなどの技術が,デジカメだけでなく他の組み込み機器でも役に立つはず」(富士通の説明員)とみる。

 NECエレクトロニクスは,ハード・ディスク装置(HDD)を接続した開発ボード(図4)をパソコンの周辺機器とし,そのボードに搭載するFPGAにUSBコントローラとMAC制御の論理回路を実装した。このボードとパソコンのそれぞれに,イスラエルWisair Ltd.が開発したRFトランシーバ回路とベースバンド処理機能を備えるボード(図5)を接続し,Wireless USBによって無線伝送した動画データのストリーミング再生を行った(図6)。このデモを国内で見せるのは初めてという。2004年10月に開催された「CEATEC JAPAN 2004」では同様の構成のシステムを用意していたものの,展示会場に実験局を設置する許可が間に合わず,実際のデータ伝送はできなかった。