松下電器産業は,年間消費電力量を従来品比で約25%~約35%減らしたPDPテレビや動き応答特性を高めた液晶テレビを発表した( 発表資料)。同社のPDPテレビや液晶テレビである「VIERA」シリーズの新機種として,合計9機種を2005年5月1日に発売する(図1,図2)。
新機種の発表会において松下電器産業は,新型PDPテレビの消費電力が液晶テレビと同等あるいは映像によっては液晶テレビを下回ることになったことや,家庭のリビング・ルームにおけるテレビの視聴環境から,画面寸法が同じであればPDPテレビが液晶テレビよりも優れると強く主張した。今回のPDPテレビの年間消費電力量は,37インチ型では従来比で約35%減の250kWh/年,42インチ型で約30%減の331kWh/年,50インチ型で約25%減の449kWh/年だったという。この値は「エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)」によるCRTテレビの消費電力の測定方法をベースに算出したと説明する。
この消費電力量の差分を年間の電気料に換算すると,1kWhあたりの電気料を23円として,約3000円~約3400円の減少に相当する。液晶テレビと年間消費電力を比べると「今回の製品ではテレビ・チューナを2系統設けているので,テレビ・セット全体で他社品と正確に比較できないが,画面寸法が同程度の液晶テレビであれば,今回のPDPテレビは消費電力が低い部類の液晶テレビの品種と同じか若干多い程度の品種の消費電力に相当する」(同社の説明員)という。
PDPテレビは暗いシーンを映し出す時ほど,消費電力は少なくなる。画素の点灯回数を減らして明るさを調整するためだ。一方,明るいシーンになると,消費電力は増加する。それに対して,バックライトで画面全体を背後から照らす液晶テレビでは,原理的にバックライトの明るさは一定で,シーンによる消費電力の差は出にくい。今回のPDPテレビは,映画など暗いシーンが多い映像を見る場合に,おおむね液晶テレビよりも消費電力は低くなるという。今回の発表会で併設した展示ブースにおいて,消費電力の表示計を取り付けた37インチ型のPDPテレビと液晶テレビを並べ,シーンによる消費電力の推移を比較していた(図3,図4)。
視聴環境については,家庭のリビング・ルームが照度100lx前後,それに対して量販店が同2000lxであることを取り上げた。照度が低い家庭のリビング・ルームではPDPテレビの方が黒の締りの良さが引き立ち,液晶テレビは黒が白っぽくなるので画質が低下するとした。発表会の展示ブースでは,照度を変えながらPDPテレビと液晶テレビの画質を比較していた(図5,図6)。
今回のPDPテレビや液晶テレビの価格はオープン。画面寸法と店頭予想価格は,PDPテレビが50インチ型で約65万円,42インチ型で約50万円,37インチ型で約40万円である。液晶テレビでは,32インチ型で動き応答を高めた機能を備えた品種が約35万円,同機能を省いた品種で約30万円,26インチ型で同機能付きが約30万円,同機能なしで約25万円。23インチ型と19インチ型はそれぞれ約20万円と約16万円。23インチ型と19インチ型は共に同機能を備えていない。