ソフトバンク・インベストメントの北尾氏
ソフトバンク・インベストメントの北尾氏
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 「ホワイトナイト?そんな意識はないが,結果としてそうなるかもしれないね」。ソフトバンク・インベストメント(SBI)が,フジテレビジョンとニッポン放送と共同で創設したベンチャー・キャピタル・ファンドの設立会見で,SBI 代表取締役 CEOの北尾吉孝氏は泥沼化しているフジ・サンケイ・グループとライブドアとの争いに関してこう語った。

 ホワイトナイト(白馬の騎士)は,被買収企業にとって友好的な買い手を指す言葉。 野村證券時代から企業買収案件の経験が豊富な北尾氏は「大人の解決を図る知恵を持っており,必要に応じて解決策を提供する用意がある」と述べた。SBIが2005年2月に増資したことでソフトバンクとの資本関係は薄らいだとはいえ,北尾氏にとって「孫社長とは同志」。北尾氏を仲介役としてライブドア問題が解決すれば,ソフトバンク・グループとフジ・サンケイ・グループがブロードバンドと放送事業を融合したサービス事業体に発展する可能性が出てきた。

 今回,SBIおよびSBIベンチャーズ,フジテレビ,ニッポン放送が創設したのは「SBIビービー・メディア投資事業有限責任組合」である。出資対象は,映像・音楽・出版などのコンテンツに関する事業や放送・通信関連事業を行う非公開企業。フジテレビが160億円,ニッポン放送が20億円,SBIとSBIベンチャーズが20億を出資する。SBIからみれば,別枠のブロードバンド・ファンド(500億円)を基幹ファンドとした周辺ファンドという位置づけになる。放送事業にノウハウがないSBIとしては,フジテレビとニッポン放送の両社に対して,映像・音楽コンテンツなどに対する「目利き役」を期待したと説明する。

 今回の提携に関連して,ニッポン放送が保有するフジテレビの株式35万3704株をSBIが5年間借り受ける「株券消費貸借契約」を交わしたことを明らかにした。これにより,賃借期間中はSBIがフジテレビの筆頭株主になる。

ソフトバンク・インベストメントとフジ・サンケイ・グループが創設したファンドの概要
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ファンド創設による各社のメリット
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