日本ビクターは,2004会計年度第3四半期(2004年10~12月)の連結売上高が対前年同期比8.5%減の2391億6700万円になったと発表した(発表資料:PDF)。営業利益は同25.8%減の74億2400万円,当期純利益は同31.6%減の47億円である。前年実績に対して大幅な減収減益ではあるが,中間期(関連記事)に比べると業績はやや回復している。

 業績悪化に歯止めをかけたのは,「ビクターならではの特徴のある商品」(同社広報)。対前年比で8.8%縮小しているMD機器の市場(JEITAの統計資料)において,同社はこの四半期にMDコンポやMDラジカセの売り上げを伸ばしている。「MDデッキを2基備えるミニコンポなどが好調だった。ダブルMDといったらビクター,との認識が広まっているようだ」(同社広報)という。また,振動板材料に木を用いたスピーカも好調に推移した。

 これらのオーディオ機器などを扱う民生用機器部門の売上高は,ほぼ前年同期並みの1853億3000万円となった。映像機器では,液晶テレビの販売数量が増え,価格下落はあったものの,売上高を伸ばした。ハード・ディスク装置(HDD)を搭載するビデオ・カメラ2機種も,2004年11月の発売以降,それぞれ計画通りの5000台を売り上げている。また,米国市場では,自社開発の表示素子「HD-ILA」を搭載するリアプロ・テレビなどが好調に推移した。ただし,「ほとんど全ての地域,ほとんど全ての製品で価格下落の影響を受けた」(同社広報)ために,民生用機器部門の営業利益は対前年同期比23.2%減の69億3600万円となった。

 電子デバイス部門の売上高は対前年同期比32.6%減の96億8500万円となり,5億2000万円の営業損失を計上した。HDD用流体軸受けモータが伸長したものの,携帯電話機やデジタル・カメラ向けの高密度多層基板や,CRTテレビ向けの偏向ヨークの需要が低迷し,販売数量,販売価格ともに落ち込んだ。

 ソフト・メディア部門では,売上高は対前年同期比38.4%減の262億7600万円,営業利益は同28.0%減の12億4200万円となった。音楽CDなどの大幅な売り上げ減が響いた。一方,記録用のDVDディスクは伸長した。「当社は,OEMを含めて国内市場におけるDVD-RWの約6割を生産している。追記型は価格下落の幅が大きいが,書き換え型では比較的,小幅にとどまっているため,好調に売り上げを伸ばすことができた」(同社広報)としている。

 通期(2004年4月~2005年3月)については,「価格下落は万国共通の波。第4四半期も厳しい状況が続く」(同社広報)とみており,中間期に下方修正した予想をそのまま掲げる。売上高9050億円(対前年度比1.8%減),経常利益170億円(同15.8%減),当期純利益40億円(同74.4%減)を見込んでいる。