決算説明を行う平田副社長
決算説明を行う平田副社長
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 NTTドコモは,2004年度第3四半期の連結業績を発表した(NTTドコモの説明資料)。第1四半期~第3四半期を通じた営業収益は3兆6431億円,営業利益は7514億円で,それぞれ前年同期の実績に比べて4.8%,10.9%減少した。

 同社は,当初から減収減益を予想していた(Tech-ON!の関連記事)。2005年1月28日に開催した記者説明会では,2004年5月時点で見込んでいた通りに2004年度通期の売上高と営業収益が推移していることを示した上で,10月~12月の純増シェアが47.1%と前期および前々期よりも増えたこと,解約率が低下し10月~12月に1%を下回ったこと,「FOMA」の契約数が累計で900万を超えたなど好材料を列挙した。

 営業利益については,期初に見込んでいた8300億円に対して第3四半期を終えた時点で既に90.5%を達成している。第1四半期~第3四半期を通じて営業利益は2000億円を超えていたが,第4四半期の営業利益は800億円程度にとどまりそうだという。大きく減少する理由として,「料金値下げ」「端末の販売促進費用の増加」「期中に上乗せした新規設備の償却費の増分」「期末における物件費の増加」を挙げている。

 料金の値下げ分に対して,それを補うような新しい収益源は育っていない。同社が期待をかけているのがテレビ電話などのAV系のサービス収入と,非接触ICカード機能を搭載した携帯電話機「おサイフケータイ」による電子取引関連からの収入だが,いずれも「当初の予想よりも普及に時間がかかっている」(同社 代表取締役 副社長の平田正之氏)と評価している。テレビ電話は「生活習慣としてまだ根付いていない」(平田氏),おサイフケータイについては「使われていると実感できるのは普及台数が1000万くらいになってから」(同氏)とした。非接触ICカードの搭載機の普及台数は2005年1月末時点で150万台である。

 新しい収益源が育つまでの間,収入の減少分は経費削減によって補うことになる。その取り組みの1つが端末調達費用の抑制だ。その第一歩が,2005年3月までに発売する見込みの「FOMA 700i」シリーズの導入である。同シリーズは,既存の「FOMA 900i」シリーズに比べて,内蔵カメラの画素数や画面の解像度を落とすなどしてコストを安くしたFOMA端末。端末メーカーからの調達費用は,FOMA 900iシリーズに対して1万円ほど安くできるとした。さらに,2005年度以降には,端末調達コストの低減化を目的として海外メーカーからの調達を予定していることを示した。端末調達コストの低減に伴い,代理店手数料(いわゆるインセンティブ)も減らせるとした。

廉価版の「FOMA 700i」シリーズの投入は2004年度中(NTTドコモのIR資料から)
廉価版の「FOMA 700i」シリーズの投入は2004年度中(NTTドコモのIR資料から)
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テレビ電話などAVトラフィックは「堅調」だが「定着には時間がかかる」とも(NTTドコモのIR資料から)
テレビ電話などAVトラフィックは「堅調」だが「定着には時間がかかる」とも(NTTドコモのIR資料から)
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