DRM(digital rights management)技術に,家電業界の大手メーカーが支持する新たな規格が登場する。DRM技術を開発する米Intertrust Technologies Corp.と,松下電器産業,オランダRoyal Philips Electronics 社,韓国Samsung Electronics Co., Ltd.,ソニーは,DRM技術の共通仕様「Marlin」を策定する団体「Marlin Joint Development Association」(Marlin JDA)を結成した(発表資料)。

 Intertrust社によると,MarlinはDRM技術システムを開発する際の基本的な仕様を定めたもので,企業はこの仕様を基に独自の機能を加えたDRM技術を開発できる。「Marlin JDAの目的は,相互に運用できるDRMシステムを実現するために, DRM技術の中核部分を定めた規格を開発すること」(Intertrust社)。Marlinに準拠したDRM技術が相互に互換性を保つことを目指すという。

 現在の市場で有力なDRM技術は,米Microsoft Corp.の「Windows Media DRM」や,米Apple Computer, Inc.が「iTunes Music Store」に用いた「FairPlay」など,コンピュータ関連企業が開発したものが中心である。今回の発表は,これらに対抗するDRM規格を家電業界が立ち上げることを目指したものとみられる。既に「2005 International CES」でMarlinのデモをしたという。今年の夏ごろに,Version 1.0の仕様を公開する予定だ。

 Marlin JDAを設立した5社は,異なるDRM技術の互換性を保つ規格を定める団体「Coral Consortium」の中心メンバーと重なる。Coral Consortiumは,2004年10月に発表され,5社以外に米Hewlett-Packard Co.や米Twentieth Century Fox Film Corp.が参加している。Marlin規格は,Coral Consortiumが開発する技術と互換性を持つ予定という。