再生専用媒体「Mini-DVD」に,ハリウッドが100タイトルほどの子供向けタイトルを提供
再生専用媒体「Mini-DVD」に,ハリウッドが100タイトルほどの子供向けタイトルを提供
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 直径8cmとシングルCDと同じサイズの小型DVD媒体は,今までデジタル・ビデオ・カメラの記録媒体向けや企業の宣伝用媒体などに主に使われてきた。この直径8cmのDVD媒体を子供向け映像コンテンツのパッケージ媒体として使う動きがある。「Mini-DVD」と呼ぶものだ。

 米国ラスベガスで開催中の「2005 International CES」では,子供向けの携帯型Mini-DVDプレーヤが相次いでお目見えした。開発したのは,韓国Samsung Electronics Co., Ltd.とDVD機器メーカーの米CyberHome社である。CyberHome社の製品は2004年末に米国で販売を開始しており,価格は99米ドルである。一方Samsung社は2005年3月に韓国において発売予定で,価格は約150米ドルだという。いずれも,小型の液晶パネルを採用するなどして価格を抑えた。「親が子供にも買い与えやすい価格にしたかった」(Samsung社の説明員)。このほか,子供が乱暴に扱っても耐えられるよう,従来の携帯型プレーヤと比べて衝撃に対する耐性を高めたという。

ハリウッドが後押し

 このMini-DVDの事業化は,Samsung社と米Time Warner, Incが中心となって進めたという。特にWarner社は,一気に30タイトルを投入する力の入れようだ。このほか,米Universal Studios,Inc.や米Paramount Pictures Corp.などがMini-DVDのタイトルを発売する予定で,Warner社の分と合わせて100タイトルほどの販売が決定している。米The Walt Disney Co.は製品化について態度を保留しているが「現在交渉中で,Disney社もタイトルの提供に前向きになってきた」(Samsung社の説明員)。ディスク1枚の収録時間は80分で,価格は1タイトル当たり9.95米ドル~24.95米ドルになるという。

 Samsung社やCyberHome社によれば,Mini-DVDを子供向けコンテンツ配布媒体に選んだ理由は2つある。1つは,プレーヤの大きさを子供が両手で持てるくらいに抑えること。「例えば家の自動車やスクール・バスの中で視聴するときには,機器を両手で持つ必要がある。それには,携帯型ゲーム機ほどの小ささにしたかった」(CyberHome社の説明員)。直径12cmのディスクを使う現行の携帯型DVDプレーヤでは,子供が両手で無理なく持てるほどには小型化できないと考えた。もう1つは,通常のDVD-Videoディスクには暴力シーンやアダルト・シーンなど小さな子供には見せたくないシーンを含むコンテンツが存在するため,親が子供に対して携帯型DVDプレーヤを買い与えにくいことだ。「Mini-DVDでは提供するコンテンツを子供向けに特化することで,親が安心して購入できるようにする」(Samsung社の説明員)。

 Samsung社が開発した「DVD-L25」は,内蔵する2.5インチ型の液晶パネルで映像を表示する。同機は単3形乾電池4本で動作する。一般のNi-Cd(ニッケル・カドミウム)2次電池では約2.5時間にわたって連続再生できるという。映像の視聴のほか,MP3方式やWindows Media Audio(WMA)方式の音楽ファイルを再生する機能や,JPEG画像を閲覧する機能も備える。CyberHome社が開発した「CH-MDP-2500」も,Samsung社と同じく2.5インチ型の液晶パネルを搭載する。Liポリマ2次電池を内蔵しており,連続再生時間は3時間。Mini-DVDの日本での展開については,CyberHome社が「いくつかの日本の小売店が『プレーヤを取り扱いたい』と話している」(同社)とするほか,ソニーがMini-DVDプレーヤの販売を検討しているとのウワサもある。

Samsung社が開発したMini-DVDプレーヤ「DVD-L25」
Samsung社が開発したMini-DVDプレーヤ「DVD-L25」
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CyberHome社が開発したMini-DVDプレーヤ「CH-MDP-2500」
CyberHome社が開発したMini-DVDプレーヤ「CH-MDP-2500」
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