米Hitachi Global Storage Technologies, Inc.(HGST社)は,ハード・ディスク装置(HDD)を製造する中国GS Magicstor Inc.とその関連企業が,HDD技術の特許を侵害したとして,米国カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所に提訴した(ニュース・リリース)。HGST社は,特許侵害による損害賠償のほか,米国における製品の製造,使用,輸入,販売などの差し止めを求める。


 GS Magicstor社は,1インチ型HDDを製造する新興のHDDメーカー。同じく新興の米Cornice Inc.は,HDDの特許を侵害したとして米Seagate Technology社や米Western Digital社に提訴されている(NE ONLINE関連記事)。これに対してGS Magicstor社は「明らかに数多くのHDD技術の特許を侵害している」(HDDの技術者)とされながらも,今まで特許侵害で訴訟を起こされることはなかった。その理由として,GS Magicstor社が中国政府から工場用地の無償提供,税制上の優遇措置といった強力なバックアップを得ているため,とする関係者は多い。GS Magicstor社を提訴することで,中国政府を刺激しかねないとの配慮があった。GS Magicstor社の関係者も「中国に製造工場を持つ企業なら,おいそれと我々に手を出せないはず」と豪語していた。


 今回,HGST社は「業界で不正な競争を行う者から当社の投下資本や知的財産を保護する責任がある」(同社 Hard Disk Drive Group, general managerのRobert Holleran氏)と表明するなど,GS Magicstor社と全面的に争う構えである。日本など他の国でも同様の訴訟を起こすかどうかは明らかにしていない。


 HGST社が侵害を申し立てた特許は,1993年~1997年にかけて成立したセクタ・サーボ方式に関する4つの特許(米国特許番号5,210,6605,440,4745,615,1905,500,848)。これらの特許はHDDの寸法を問わず使用するもので「HDDの基本特許といっていい内容」(HGST社)という。