米Evident Technologies社は,発光効率の高い白色LED(発光ダイオード)の実証と開発に関し,米ニューヨーク州エネルギー調査開発局(New York State Energy Research and Development Authority:NYSERDA)からの資金援助を獲得したと発表した。

 Evident社は,高品質な白色照明を製造するため,新しい半導体粒子である量子ドットナノ材料を生産する。この量子ドットナノ材料は,低価格LEDにはない,調整できる色特性を持っている。また,Evident社はこの取り組みについて,米Rensselaer工科大学(Rensselaer Polytechnic Institute:RPI)のLighting Research Center(LRC)と共同で開発を行っていく。

 Evident Technologies社CEO,Clinton T. Ballinger博士は「我々の量子ドットナノ材料は,現在のハロゲン灯や白熱灯よりはるかに効率の良い白色LED照明システムの製造を可能にする。さらに,現在の白色LEDより優れた品質の色が実現でき,家庭やオフィスで十分に使用できる。量子ドットを使った白色LED照明システムが開発できれば,それはEvident Technologies社の製品群にあってまったく新しい急成長市場の幕開けとなるであろう」と語る。

 Lighting Research Center(LRC)の研究責任者,Nadarajah Narendran博士は「LRCは従来の光源と比べて色の品質やエネルギー効率が高い,新しい半導体照明システムの開発に力を入れている。量子ドットは多くの応用で望ましいとされている連続スペクトル白色光を生成する能力を持っている。新しい照明システムの効率が改善できれば,我々はそのシステムを確実に市場で受け入れられるようにしていけるであろう」と語る。

 住居やオフィスビルに設置されている白熱灯などの低効率な光源をLEDに置き換えると,大幅なエネルギーコストが削減できる。1998年にニューヨーク州の家庭で照明に使われた電力は合計73億キロワット時(kWh)だった。もし各家庭で1日に4時間以上使用しているすべての白熱灯を半導体光源に換えたとすると,年間25億kWh(全家庭で使われる電力の35%)の電力が節約できるという。

 NYSERDA局長のPeter Smith氏は「一般照明への利用を目指した効率の良いLEDの開発に投資することで,我々はNew York州で使われている効率の悪い白熱灯やハロゲン灯の置き換えが進むことを期待している。そしてそれによって,市民の光熱費が削減され,また,化石燃料発電で発生する温室効果ガスが削減されて環境の保護が進むことを期待する」と語る。(西村 勝彦)


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