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宝酒造のバイオビジネスリーダー加藤副社長、ITとBTの融合、材料量産の重要性を強調

黒川
2001/12/19 00:00
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 「これからの時代、IT(情報技術)とBT(バイオテクノロジー)の技術者が手を組むことが非常に重要になってくる」と、宝酒造でバイオビジネスの陣頭指揮を執る代表取締役副社長の加藤郁之進氏(写真)は本誌に強調した。宝酒造は、名が示す通り酒造メーカーだが、1986年に米国でバイオベンチャーに勤めていた加藤氏をスカウトしてバイオビジネスを1つの新しい事業の柱とし、今日では日本を代表する世界的に有名なバイオ企業にまで育った。加藤氏が述べるのは、これからのバイオビジネスには、もともとの専門がバイオでないノンバイオの科学者や技術者の力も必要になってくるということである。

 加藤氏は、ITとBTの融合以外に、もう1つ重要なポイントがあることを強調する。2000年春、米国ベンチャー企業のセレーラ・ジェノミクス社と、複数国家間の公的な国際チームが、ほぼ同時に、「人のDNA(デオキシリボ核酸)の塩基配列を読み終えた」と発表。それまでバイオを無縁と思っていた異分野から遺伝子情報を利用するビジネスへの参入熱が高まった。しかしこれについて加藤氏は、「遺伝子ビジネスの産業化に火をつけたのは、塩基配列の解読より14年前の成果。1986年にPCR法と呼ぶDNAの量産技術が開発されたことだ。肝心なそれが知られていない」と述べる。実験室レベルの基礎研究を産業に結び付けるには、用いる材料が安価に入手できることがポイント。これは、三菱化学と三菱商事のチームが、「フラーレンは量産できてこそ産業化できる」と述べているのと同じである。

 宝酒造は2001年11月5日、「SNPの新しいタイピング法であるUCAN法を開発した」と発表した。SNPはDNAの塩基配列の中で個人によって異なる部分を指し一塩基多型と呼ばれる。タイピングとは同じ塩基配列の領域を複写して増殖させることを意味する。上述のPCR法では、SNPを囲む領域を増殖させるために用いるプライマーとして、DNA鎖の重合を触媒する酵素であるDNAポリメターゼを活用した。これに対し加藤氏らは、PCR法で必要だった加熱処理を省くことができるICAN法を開発。プライマーとしてDNAポリメターゼに代わってDNAとRNA(リボ核酸)を接合した化合物を活用した。これにより、SNPを増やす速度をPCR法の約5000倍に高めた。

 さらに今回、DNA-RNA(DR)プライマーに代えて、DNA-RNA-DNA(DRD)プライマーを活用するUCAN法を開発し、SNPの合成速度をさらに高めた。プライマーは、DからDR、DRからDRDに変わったことになる。今後、さらに高速でSNPを合成する技術の開発を進め、これまで以上に安価なDNAチップの製造を通じてバイオビジネスの発展を促進したい考えである。(日経ナノテクノロジー 黒川 卓)

加藤氏
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