ソニーの置かれている状況を鑑みると,今回のインターナショナル ディスプレイ テクノロジー(IDTech)の買収自体は,ソニーの長期的な経営戦略に適合した合理的な行為と判断できる。ポイントは,今回の買収の主体がエスティ・エルシーディ(ST-LCD)ではなくソニー本体である点である。買収後,新会社にはST-LCDも20%程度の出資を行うことをソニーは明らかにしているが,これはST-LCDの合弁相手の豊田自動織機も今回の買収に賛同していることを示す象徴的な意味合いが強いと考える。ST-LCDはこれまで赤字続きであったため買収資金を持っていなかったことも,ソニー本体が買収主体となった一因と考えられる。しかし,それよりも,ソニーはエンジニアの再配置などを含め,同社が自由にコントロールできる形を望んでいたためと考えるのが自然であろう。ソニーは今回の買収を通じて,中小型パネル事業への本格的なコミットメントを行っただけではなく,大型パネルについても自社の技術力強化に乗り出したとの解釈が可能である。
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