4インチウエハー上に製造した4700個のCNT集積化マイクロキャパシター(写真:産業技術総合研究所)
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 産業技術総合研究所は、カーボンナノチューブ(CNT)を電極に利用した「CNT集積化マイクロキャパシター(IEDC)」を開発した注1)。IEDCはICに近い工程でSiウエハー上に製造する薄型の電気2重層コンデンサー(EDLC)である。

注1)科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業チーム型研究(CREST)の支援の下での開発成果である。

 性能面の特徴は、エネルギー密度、出力密度、充放電速度を既存のアルミニウム(Al)電解コンデンサーに対して高い水準で実現した点である。エネルギー密度は約1000倍だ(図1)。小型であることで市場シェアを広げている積層セラミックコンデンサー(MLCC)に対しても、圧倒的な低背化を実現できる。

図1 電気2重層コンデンサーに比べて高速に充放電
IEDCを4並列、4直列に接続し、同等の動作電圧、静電容量を備えたAl電解コンデンサーと比較(a)。体積は約1/838倍になった。開発品1個の構造と寸法の例を示した(b)。Al電解コンデンサーや各種電気2重層コンデンサー(EDLC)、Liイオン2次電池との比較(c)。充放電時間はAl電解コンデンサーと同等で、EDLCとしては非常に短い。(図:産業技術総合研究所の資料を基に本誌が作成)
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