日新製鋼と神戸製鋼所は、従来の鋼板用スポット溶接機を使ってアルミニウム(Al)合金と強固に接合できる溶融Alめっき鋼板を開発した(図1)。通常、鋼板用のスポット溶接機を使って鋼板とAl合金を接合すると、界面に硬くてもろい金属間化合物が生成し、接合強度が下がる。新開発の鋼板は、この化合物の生成を低減できる。

図1 Al合金とAlめっき鋼板のスポット溶接例
新鋼板は、従来の鋼板用のスポット溶接機を使って、Al合金と接合できる。鋼板の板厚が厚くなるほど溶接電流を下げられるため、従来のスポット溶接機を利用しやすくなるという。
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 Al合金同士のスポット溶接では、電極とAl合金板の接触点に通電すると、2枚のAl合金板の間の電気抵抗によって熱が発生する。この熱でAl合金の表面を溶かして接合する。ただし、Al合金は鋼板に比べて電気抵抗が小さいため抵抗発熱量が少なくなり、鋼板同士より大電流を流さないと溶接できない。一般的に20kA以上の電流を流す必要があり、専用の溶接機が必要になる。

 これに対してAl合金と鋼板のスポット溶接では、電気抵抗の大きい鋼板を発熱させて、その熱でAl合金を溶かして接合する。溶接電流値は10kA程度であり、Al合金同士の場合の半分程度に抑えられる。鋼板同士のスポット溶接に比べても、電流値の増加は20%程度で済む。そのため、鋼板用のスポット溶接機が使える。