排気量を小さくすることで燃費を改善し、動力性能の低下を過給器で補う「ダウンサイジングエンジン」。性能のカギを握るのがターボチャージャーだ。同市場で世界首位の米Honeywell International社が、軸流タービンを使って応答性を改善したターボチャージャーを、2017年に量産を開始する。実はこの製品、量産を前にあの伝統の耐久レースで輝きを放っていた。

 速さと安定感を両立した圧巻の走り──。2015年6月に開催された「第83回ル・マン24時間耐久レース」。伝統の一戦を制したのはドイツPorsche社「919 Hybrid」の19号車だった(図1)。終盤でも3分20秒台のラップタイムを連発し、圧倒的な強さを見せた。

図1 ル・マン24時間レースを制す
Porsche 社がワン・ツー・フィニッシュを達成した。レース車両の「919 Hybrid」には、Honeywell社の新型ターボ―チャージャーを搭載していた。
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 919 Hybridのエンジンは、排気量2.0LのV型4気筒ターボ。ライバルのドイツAudi社は同4.0LのV型6気筒ディーゼルターボを、トヨタ自動車は同3.7LのV型8気筒自然吸気を選択した。Porsche社は小さい排気量のエンジンで燃料消費を抑えつつ、併せて搭載した強力なエネルギー回生システムを武器に戦った。