「2020年ごろには、スピードは10倍、造形サイズは4倍、精度は5倍、価格は半分になる」。このような予測の下、3Dプリンティングの活用に力を入れている企業がある。石油プラントや発電所などで使われるバルブ類のメーカーである日本ドレッサー(本社東京)だ*1。同社の刈羽事業所は2013年後半に樹脂3Dプリンターを、2014年後半には金属3Dプリンターを導入(図1)。2015年3月には、金属3Dプリンターで造形した自動調整弁用の部品の出荷を開始した。

*1 1974年にニイガタ・メーソンネーランとして発足。2000年にDresser社の100%子会社となった。2011年にGE社がDresser社を買収したのに伴って、日本ドレッサーがGE社の傘下となっている。

図1 日本ドレッサー(GEオイル&ガス)の刈羽事業所で導入した3Dプリンター
(a)金属粉末をレーザーで溶融・凝固させて積層する機能と切削加工機能を併せ持つ3Dプリンターを導入し、それで造った自動調整弁用部品を2015年3月に顧客へ納入した。(b)金属3Dプリンターの導入に先立って樹脂3Dプリンターも導入し、どのような設計が可能になるのかを検証した。
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 実はこの日本ドレッサーという会社は、米General Electric(GE)社のグループ企業である。そのため、日本ドレッサー刈羽事業所も、「GEオイル&ガス刈羽事業所」と表記される場合が多い。GE社は航空機エンジンなどの分野において先進的な金属3Dプリンターの活用を進めている。刈羽事業所の取り組みもその流れの1つと位置付けられるだろう。しかし、この刈羽事業所での3Dプリンティング活用の取り組みは、世界の他のGE社の拠点における取り組みをそのまま真似たものではない。日本ならではの独自性を持って進められているのだ。