現在のはんだは、銀(Ag)を含む材料が主流になっている。最近のAg価格高騰の影響により、Ag含有量を削減したはんだを使う動きが活発化している。ただし低Ag化には接続強度の低下が伴うため、衝撃が加わる携帯機器に適用するのは難しいとされてきた。そうした常識を覆すように、富士通と東芝がそれぞれ異なるアプローチで、ノートパソコンに低Agはんだを適用した。

 国内のパソコンメーカーが相次いで、ノートパソコンやタブレット端末に「低銀(Ag)はんだ」を使用し始めた(図1)。低Agはんだとは、文字通りAgの含有量が少ないはんだを指す。これまでのはんだ材料のAg含有量が3質量%なのに対して、低Agはんだは1質量%以下に減らしたもの。わずかこれだけの違いで、はんだの材料費を約30%削減する効果があるという。

図1 携帯機器で低Agはんだの採用が広がる
ノートパソコンなどの携帯機器に、Agの含有量を減らした低Agはんだの採用が広がっている。Ag含有量の低下で、はんだ表面の光沢がわずかに減っているという。
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 ただし材料コストを削減できる反面、接合強度が低下する課題があった。このため、落下などの衝撃を受けやすいノートパソコンといった携帯機器に、低Agはんだを適用するのは難しかった。独自の工夫でこの課題を乗り越えたのが富士通と東芝である。両社はそれぞれノートパソコンに低Agはんだを適用し、製品化してきたことが明らかになった。