機器開発を進める上で必要不可欠な熱設計。本連載では、熱設計の基礎である伝熱や熱対策、そして基本的な熱設計手法を解説する。熱伝導と対流、そして今回取り上げる熱放射と物質移動による熱輸送で、熱の伝わり方が出そろった。これらを組み合わせることで、あらゆる熱コンダクタンスの計算に対応できるようになる。 (本誌)
熱放射は電磁波の放出現象であり、熱伝導と対流とは仕組みが異なる(図1)。
温度が高くなると、格子振動の状態に二つの変化が起こる。まず、振幅が増えることにより、出てくる電磁波が急激に大きくなる。もう一つは、周波数が上がる。つまり、速く動くようになり、出てくる電磁波の波長が短くなってくる。
常温での周波数はそれほど高くないため、出てくるのはほぼ赤外領域の電磁波である。赤外線は熱線などと呼ばれ、熱エネルギーを多く含む。