成形が容易で耐候性に優れ、軽量ながら高い強度を持つガラス繊維強化樹脂(GFRP)。日用品への適用が広がるに伴って、思わぬケガに至るケースが増えている。傘やテントのGFRP製の部品に触った消費者の手の指に、その表面から飛び出した極細のガラス繊維が刺さるといった事例だ。使いやすい新材料のリスクが、正しく認知されていなかった。

 「とげが刺さって指が腫れた。商品に問題がないか調べて欲しい」─。傘やテントを使った消費者から、こうした声が相次いだ。いずれも、一部部品にガラス繊維強化樹脂(GFRP)を採用したものだった*1。国民生活センターが調査したところ、傘の骨に使われているGFRP製部品の表面からガラス繊維が飛び出し、指などに刺さる危険性があることが分かった。同センターは2015年3月、注意喚起とともに調査結果を公表1)。その資料を基に、GFRP製部品の現状と、そこに潜む危険性についてみてみる。

*1 ガラス繊維には、長繊維(グラスファイバー)と短繊維(グラスウール)があるが、今回取り上げるGFRPで使われているガラス繊維は長繊維である。