「上海モーターショー2015」が2015年4月末に開催された(図1)。上級セダンやSUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)など依然として大きいクルマが人気だが、今回は2020年の燃費規制への対応が焦点だった。EV(電気自動車)やHEV(ハイブリッド車)、PHEV(プラグインハイブリッド車)などが多数登場した。
トヨタは普及車向けHEVを公開
中国では2020年に100km/5L(20km/L)の燃費規制が施行される。世界的に見ても厳しい規制であり、日本メーカー各社は5年後に向けて、SUVやセダンなどのコンセプトを披露する一方、環境対応車の投入や低燃費技術の開発に注力する方針を示した(図2~4)。
トヨタ自動車は、2014年に発売した新型「カローラ」と派生車「レビン」、それぞれのHEVモデルを公開した。ニッケル水素電池やインバーター、トランスアクスルなど基幹部品を現地で生産する。同社がHEVシステムを海外生産するのは初めてである。
海外生産の最大の狙いがHEVの普及である。これまで中国では上級ブランド「レクサス」でHEV比率が3割弱となっている。一方で、トヨタブランドでは「カムリ」で5%程度にとどまる。HEVシステムを低コスト化することで、普及車にHEVモデルを用意する。
2015年に投入するカローラ/レビンのHEVモデルを皮切りに、その他の車種にも拡大し、「2020年にはトヨタブランドの全車種でHEV比率を3割以上に高める」(トヨタ専務役員の大西弘致氏)計画だ(別掲記事「『年間販売200万台の目標は変えない』、『SKYACTIVが中国でもけん引役に』」参照)。