本連載ではこれまで、モデルを使用してシステムをどのように分析・設計するか、下流工程であるモデルベース開発(MBD)にどう接続するかという、モデルベース・システムズエンジニアリング(MBSE)の手法を説明してきた。今回は、これまでとは観点を変えて、モデルをはじめとする、MBSEでの成果物を管理、活用する手法について説明する。(本誌)

 モデルベース・システムズエンジニアリング(MBSE)によるシステム(製品)開発のプロジェクトでは、モデルをはじめとする、さまざまな種類の“成果物”が生まれる。システムモデルはMBSEの重要な成果物の1つだが、要求文書やソースコードなども、システムを構成する成果物である。

 従って、MBSEの成果物として作成されたモデルは、他の成果物とともに管理する必要がある。また、成果物を再利用することで、新たな価値を生み出すことができる。そこで本稿では、モデルをはじめとする成果物を管理、活用する手法を解説する。具体的には、トレーサビリティー管理と再利用について説明する。また、それらを実現する仕組みであるOSLC(Open Services for Lifecycle Collaboration)1)の仕様と、IBM Rational注1)ツールによるサポートも紹介する。なお、以降の説明で特別に断りがない場合は、モデルは「SysMLモデル」を意味するものとする。

注1)IBM Rationalは、米IBM社のブランドの1つ。ソフトウエア開発をサポートするさまざまな手法やツールを提供している。