IoT(Internet of Things)が注目されるのに呼応して、インフラ監視のセンサーネットワーク用電源などとして振動発電への期待が高まっている。2015年1月28~30日に東京で開催された「Smart Energy Japan2015」では、エネルギーハーベスティングコンソーシアム(EHC)の会員企業が、実用化間近の振動発電技術を披露していた。

人が入れない場所の電源に

 例えば、富士電機は、同社の無線式モーター故障診断システム「Wiserot」の電源として振動発電モジュールを用いたデモンストレーションを展示した(図1)。発電方式には磁界中の素子が振動で変形する際の磁束の変化によって起電力を得る磁歪(わい)式を採用している。「構造がシンプルなので故障しにくく信頼性が高い」(同社説明員)。

図1 富士電機の振動発電モジュール
モーターの故障診断システムのデータ送信用電源として用いることを想定している。2016年初頭の製品化を見込んでい

 Wiserotは、モーターの振動を監視し、そのデータを1日1回程度定期的に監視用のパソコンに無線送信するもの。デモンストレーションでは85Hz程度で回転するモーターの振動をWiserotで記録していた。具体的には、モーターに振動発電モジュールを載せ、その振動で発電した電力を使ってデータを送信する。ただし、起電力は極めて小さいため、振動発電モジュール内のキャパシターに蓄電し、送信に必要な電力量に達したところでデータを送る。

 電池が不要となるため、プラントや工場内の人が立ち入り難い場所でのモーターの監視などに役立つとしている。「1台当たりのコストは電池に比べて高いが、数十台のモーターを監視するようなプラントなどでは点検の手間やコストを考えれば十分採算が取れる」(同社)としている。2016年初頭の商品化を狙っている。