ソニーは、モバイル機器向けGNSS(全地球衛星測位システム)受信ICの次期製品を28nm FDSOI(fully depleted silicon on insulator)トランジスタで開発する。同社の仲ጛ研一氏(デバイスソリューション事業本部 アナログLSI事業部 システムアナログ製品部 8課 統括課長)が「FD-SOI and RF-SOI Forum」(2015年1月23日に東京で開催)に登壇して、明らかにした。
同社は2013年に「CXD5600」というGNSS受信ICを発表している。連続受信時の消費電力が10mWと小さく、「カーナビ向けのGNSSをモバイル機器でも活用できるようにした」(仲ጛ氏)。次期ICでは同電力を1mWに下げて、ウエアラブル機器などでもGNSSを活かせるようにするという開発目標を立てた(図1)。
低電力化で同氏が注目したのが、FDSOIである。FDSOIは電子が流れる領域(ボディー部)とSi基板を薄い酸化膜で隔てたトランジスタで、バルクCMOSトランジスタに比べて高速だったり、低消費電力だったりする(図2)。さらにSi基板の裏側に電圧をかけることで、トランジスタの特性を調整しやすいという特徴もある。CXD5600はロジック部、メモリー部、アナログ部のいずれも1.1Vで駆動しているが、FDSOIの採用で3部いずれも0.6V駆動にできることをソニーは期待した。