クルマ産業は、IT(情報技術)業界の影響を強く受けるようになる。クルマメーカーを頂上に据えた開発のピラミッド体制は崩れ、車載機器・部品メーカーはクルマメーカーを見ているだけでは方針を見誤る時代が来る。車載の機器や部品のメーカーは、過去の強みを生かせない非連続な変化への対応が求められそうだ。
2014年秋、クルマ業界である“事件”が起こった。ドイツ2強のDaimler社とVolkswagen社がイベントでそれぞれ講演、聴衆に「クルマで生じるデータの活用を米Google社に牛耳られないようにしよう」と呼びかけたのだ注1)、注2)。Daimler社はクルマメーカーのみで情報プラットフォームを作ることも提案した。クルマメーカーにとって中核とはいえないIT(情報技術)領域の動きに2社が反応したのは「Google社がIT側からクルマの価値を奪う恐怖感の表れだろう」(車載機器メーカーの開発責任者)。
クルマメーカーは今、100年超の歴史上かつてない大波に揺さぶられている(図1、図2)。発信源はITだ。Google社に加え、米Apple社も自動運転車の開発を進めているもよう注3)。「IT分野の動きを無関係だと思っていると、クルマメーカーは足をすくわれる」(自動車分野のジャーナリストの桃田健史氏、別掲記事を参照)。