2015年1月に米国で開催されたデトロイトモーターショー(NAIAS 2015)*1では、大手自動車メーカー各社がさまざまな新型車やコンセプトカーを華々しく発表した。その中で大きな注目を集めたベンチャー企業があった。米Local Motors社である。
革新的なクルマづくり
同社は、炭素繊維強化樹脂(CFRP)製のボディをまとった電気自動車(EV)「Strati」を出展。このCFRP製ボディを、大型3Dプリンターで造形したのだ(図1)。3Dプリンターを使うことのメリットとして同社が挙げるのが、「製造スピードが大幅に向上する」、「巨大な工場が不要になる」、そして「個人の好みに合わせて柔軟にカスタマイズできる」ということだ。
実は、出展したStratiを製造したのは2014年9月にシカゴで開催された米国工作機械見本市*2の会場だった1)。会期中にゼロから造形を開始し、約2日間で造形を完了。その後、部品を組み付けて最終日に会場内で実車走行のデモンストレーションを披露した。自動車のボディ全体という大型の部品を3Dプリンターで一体造形し、実走行可能な状態に仕上げた例はこれまでになかった*3。
この際に使った3Dプリンター「BAAM(Big Area Additive Manufacturing)」は、工作機械メーカーの米Cincinnati社やOak Ridge国立研究所(ORNL)などと共同で開発した装置で、熱可塑性樹脂を可動ノズルの先端から吐出する方式、いわゆるFDM(熱溶解積層)方式を採用する*4。最大造形寸法は2000×4000×870mmと巨大。まさにクルマ1台がほぼすっぽりと入る大きさだ。