経済産業省 資源エネルギー庁は、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)の運用見直しを2014年12月に発表した。再生可能エネルギーで発電した電力の出力を、電力会社がこれまでより細かく抑制できるようにするものだ。これにより、九州電力などが再生可能エネルギー電力の接続申し込みの回答を保留している状態を、早期に解除するように促した 。

 見直しは、大きく分けて次の4つになる。(1)出力抑制の範囲を拡大する、(2)出力抑制の実施期間を日レベルから時間レベルに変更する、(3)出力抑制の期間を30日以上に増やせる「指定電気事業者制度」の適用を拡大する、(4)パワーコンディショナーの遠隔制御機能の搭載を義務化する、である。

 (1)の出力抑制の範囲拡大は、太陽光・風力発電で従来は出力500kW以上だったものを、出力500kW未満にも広げるものだ注1)。ただし、住宅用太陽光発電(10kW未満の余剰買取)の出力制御については、出力10kW以上の出力抑制で間に合わなかった場合に実施し、できるだけ出力抑制の対象とならないように配慮するとした。

注1)バイオマス発電については、出力抑制の優先順を明確化した。必要な範囲で出力抑制する中で、化石燃料混焼発電、バイオマス専焼発電、地域型バイオマス発電の順で出力を抑制する。地熱発電や水力発電は出力抑制の対象としない。

 (2)の出力抑制の実施期間は、電力の供給量が需要量を上回る場合に、太陽光・風力発電システムの出力を1年間のうち上限30日間まで1日単位で無補償で出力を抑制できる「30日ルール」を、時間単位に変更するものだ。これにより、本来は出力抑制が必要ない時間帯まで含めて売電を止める運用から、太陽光発電は年間360時間まで、風力発電は年間720時間まで、時間単位で無駄の少ない出力抑制に変える。太陽光発電の適用時間を風力発電の半分としたのは、夜間の日射のない時間は出力抑制の必要がないためである。

 (3)の指定電気事業者制度は、接続申し込み量が接続可能量を上回っていたり、上回ることが見込まれたりする電力会社に電源種別に適用し、無補償の出力抑制の期間を30日以上にできるというものだ。これまで太陽光発電に関して北海道電力に適用してきた。これを太陽光発電に関して新たに、東北電力と四国電力、九州電力、沖縄電力、北陸電力、中国電力まで適用範囲を広げる。2014年12月16日に系統ワーキンググループで確定した、電力会社各社の接続可能量に基づく処置である(表1)。

表1 太陽光発電の接続可能量
総合資源エネルギー調査会の系統ワーキンググループが、各電力会社の太陽光発電の接続可能量を調査した。(表:経済産業省の資料を基に作成)
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