2015年は、医療・健康・介護の分野でどのような技術革新が生まれ、どのような市場が創出されるのか。日経デジタルヘルス編集部は、その動向を占う10のキーワードを選んだ(表1)。デジタルヘルス産業の「今」が、これらの言葉から浮かび上がってくるはずだ。そのいくつかを紹介しよう。

表1 2015年のデジタルヘルス産業を占う10大キーワード
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アプリ処方

 医師が薬剤を処方するだけでなく、モバイル機器向けのアプリケーション(アプリ)を処方する時代が近づいてきそうだ。日経デジタルヘルスでコラムを連載する、内科医でキュア・アップ 代表取締役の佐竹晃太氏はこう語る。「今後の診療の在り方としては、単に薬剤のみを何種類か組み合わせて病気を治療していくやり方より、薬剤とアプリ(モバイルヘルス)を融合させて治療に取り組む方が、副作用リスクを下げながらしっかりと治療できるようになる。米国では既にこの新しい診療スタイルが始まりつつある」。

 2014年12月には、米Noom社の糖尿病予防向けスマホアプリ「Noom Health」が、米国の糖尿病予防認定プログラムの準認定を受けた。モバイル機器向けアプリとしては初の認定という。2015年は、こうした事例が相次いで登場するだろう。

デジタルスポーツ

 2020年の東京五輪開催に向けて、スポーツのデジタル化が進行中だ。運動中の生体情報や動きなどを測り、その結果をフィードバックすることで、効果的なトレーニングや技能向上につなげる試みである。体に装着するだけで心拍や活動量を測れるウエアラブル生体センサー、それと連携するスマホアプリなどの登場により、誰もがこうしたフィードバックを手軽に得られるようになってきた。

 2014年に相次いだのが、スポーツ用具にセンサーを取り付け、プレー中の動きを測るツールの製品化だ。セイコーエプソンはゴルフクラブに取り付けてスイングを解析するセンサー端末を発売し、ヒット商品となった。