2014年9月、小型ビジネスジェット機「HondaJet」の量産1号機(図1)による顧客向けの体験フライト(デモツアー)が実施された*1。関係者以外の人がHondaJetに乗るのはこれが初めて。HondaJetに搭乗して実際の飛行を体験することは、カタログの数値や映像を見たり、機外から実機を見たりするだけでは知りえないインパクトを顧客に与えた。

*1 その後も、米国やカナダなどの各地でデモツアーは実施され、2014年12月時点での搭乗者数は既に300人以上に達するという。

図1●量産1号機
顧客を乗せたデモツアーを実施し、HondaJetを体感してもらった。
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 ホンダの航空機事業子会社でHondaJetを開発・生産する米Honda Aircraft社(HACI)社長兼CEOの藤野道格氏は、HondaJetを高級スポーツカーに例える。「キャビンの広さや、エンジンがスタートするときの振動や音の小ささからくる高級感、機体の軽さとパワーからくる加速や上昇率の高さ、操縦したときのレスポンスの良さなどを、デモツアーに参加した顧客には感じてもらえた」からだ。HondaJetの顧客の多くはビジネスジェット機を操縦した経験のある人。藤野氏の言葉はそのまま、従来のビジネスジェット機とは一線を画したHondaJetの革新性を示す。