数多くの製造業関係者が見学に訪れる工場が岐阜県関市にある。プーリーやカップリングといった伝動部品を開発・生産する鍋屋バイテック会社(本社岐阜県関市、以下NBK)の本社工場「関工園」だ*1

*1 NBKの本社工場は、木々の生い茂る17万5000m2の土地に設置されており、構内に美術館やプールを併設する。「工場」の機能と「公園」の機能を併せ持つため「工園」と名づけられている。

 時には大型バスで押し寄せるという見学者の目的は、同社が実施する「超短納期」の舞台裏を自らの目で確認することにある。同社の関工園は、在庫を最小限に抑えながら14時までに受注した標準品は当日出荷、特注品でも翌日出荷を実現する「超短納期工場」として業界で知られているからだ。

 この超短納期を可能にする具体的な手段として重要な役割を担っているのが、同社がムダとりコンサルタントの山田日登志氏の主宰する「PECからくり研究会」で学びながら作製している、からくりや治具だ。

 本コラムでは今号から2回にわたり、そんなからくりや治具の実例を同社のものづくりに対する考え方と共に紹介していく。

 まずはNBKのものづくりの考え方から見ていこう。