関東が記録的な大雪に見舞われた2014年2月15日、東急電鉄東横線・元住吉駅で列車の衝突事故が起きた。
プラットホームを通り過ぎた先行列車が位置調整のため後退しようとしていたところに、後続列車が突っ込んだのだ。
後続列車は、衝突位置の約600m手前で非常ブレーキを掛けており、積雪時対策の「耐雪ブレーキ」も使用していた。対策を打っていたにもかかわらず、列車はなぜ止まれなかったのか。

 「どうしてこんな事故が起きたのか理解しがたい」。列車関連の事故に詳しいある技術士は今回の衝突事故の第1報を聞いて、こんな感想を持ったという。列車は当然、積雪時にも走行することが想定されており、車両や運行システムに複数の対策が打たれているからだ。

 では、なぜ事故は起きたのか。現在、運輸安全委員会による調査などが進んでおり、全ての事実が明らかになったわけではない。しかし、現時点で分かる事故発生時の状況や列車の安全対策から、考え得る事故原因を絞り込むことにする。