自動車の販売台数は今後も伸びていくが、その主戦場はBRICsになる。そうした市場では欧米メガサプライヤーとの激しい競争が待ち受ける。一方、技術の変化では、モジュール化と電動化、先進安全技術への対応が必要。競争力に優れる製品を生み出すことに加え、周囲の部品と連携したシステム化も求められる。日系の大手部品メーカーと、成長著しい独立系部品メーカーは変化にどう対応するのか。

 日本の自動車部品メーカーは今、大きな岐路に立っている。市場、プレーヤー、技術という三つの領域で、環境が大きく変化しているからだ。

 市場の変化では、現地生産へのシフト、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)市場の急拡大、日欧米市場の停滞が起こっている。日本からの完成車輸出が多い時代は、国内の生産能力を高めればよかった。しかし、海外で現地生産が始まり、海外進出が加速した結果、日本の部品生産が減るとともに、現地の安い部品が日本に続々とやってくるようになった。

 主戦場となる市場も日欧米からBRICsに変わる。コンサルティング会社のローランド・ベルガーによれば、車両総質量3.5t未満のライトビークルでは、2019年の総販売台数を1億300万台と予測し、そのうちBRICsの合計は43%に達するとみる(図1)。中国だけで世界販売の29%を占める3000万台規模となり、ブラジル、ロシア、インドの合計も14%に高まる。

図1 世界のライトビークル販売台数予測
2019年の販売台数は1億300万台と予測。そのうち43%がBRICsとなる。(出典:LMC Automotive、IHS Automotive、Roland Berger)
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 一方、日本と韓国は全体の6%。北米と欧州、日韓という3市場の合計も42%と、BRICsのそれに敵わない。もちろんすべてのクルマが現地生産されるわけではないが、世界で勝つには、こうした地域での供給能力が必要だ。