自動車部品を製造するカルソニックカンセイ(CK)は、グローバルでの開発体制を強化するため、製品開発(設計)および生産設備開発(生産技術)の設計手順やノウハウを共有・統一化する「Engineering Work Manual」(EWM)を構築し、2013年から本格的な運用を開始している。

 EWMは、「いわば設計と生産技術開発の教本」(常務執行役員 グローバルテクノロジー本部副本部長の成田克之氏)。製品および生産設備の開発におけるベテラン技術者の仕事の進め方を洗い出して形式知化し、システムに落とし込むことで、経験の浅い技術者でも新人でもベテランの仕事の仕方を学びながら、ベテラン並みの仕事ができるようにすることを目指している

 ベテランの頭の中には、プロジェクト・マネジメントの進め方、製品や設備の開発手順、詳細な技術検討の方法といった仕事のノウハウが入っており、それが彼らの高い業務遂行能力の礎となっている。しかし、それらは必ずしも形式化された共有可能な知見にはなっていない。

 そこで、ベテラン技術者に対するヒアリングに基づき、彼らが実際の仕事上ではこう振る舞っているというワークフローと設計作業を整理した。それがEWMだ。現在、空調機器や熱交換器などの代表的な機種のEWMを製品設計で31、生産技術で26種類運用している。あたかもベテランが思考するように業務を進められるため、業務のノウハウが身に付き、効率的な開発が可能となる。