M2Mの用途を広げるとともに、端末が激増しても支障なく通信できるようにする。こうした未来のための技術開発が進んでいる。注目は移動通信のMTC向け拡張、書き換え可能なEmbedded SIM、そしてoneM2Mだ。

 M2Mは今後、コスト削減効果やコストを回収する新たなビジネスモデルの創出によって徐々に浸透し始めるはずだ。さらに爆発的に普及させていくには、M2M端末の激増に対応する通信技術の開発や標準化をはじめ、コストをより引き下げる技術が必須になる。

 実際、M2M時代を見据えた技術開発が進み始めている。中でも大きく寄与しそうなのが(1)M2M通信の特性に合わせた移動通信規格の拡張、(2)カードの差し替えなしで通信事業者の変更を可能にする「Embedded SIM」、(3)M2Mシステムの基盤部分を標準化する「oneM2M」、の三つである。今後、端末の激増によって制御信号が帯域を圧迫する問題を(1)で解消し、(2)と(3)でM2Mの初期コストや運用コストを下げる効果を狙う(図1)。

図1 M2Mの本格普及に向けた技術開発が着々
図1 M2Mの本格普及に向けた技術開発が着々
M2Mの本格期に向けて、無線通信の制御信号を減らす技術、通信事業者間の競争促進につながるSIMカード技術、M2Mシステムの標準化などが進んでいる。
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 こうした技術が出そろえば、個々のM2M端末の通信をきめ細かく制御できるようになる。さらに、M2Mの通信サービスやシステム構築サービスにおける事業者間の競争を促すだろう。単純な料金競争だけではなく、トラフィックが少ない時間帯に通信させる制御を前提として通信料金を大幅に下げたり、「自動販売機用」「自動車テレメトリング用」「農業センサ用」といった形で機器の特性に合わせて料金プランを用意したり、といった変化を呼び起こすことになりそうだ。M2Mが本格化する時代を支える、それぞれの技術について詳しく見ていこう。