技術の進化で機器の接続が容易になった今も、M2Mへの理解が進んでいない。M2Mがもたらす本当の価値は、機器の販売後にも接点を持てることにある。業界ごとに、M2Mを前提とした新しいビジネスモデルの構築が求められている。

 「M2M(machine to machine)」──。人の介在を必要とせずに機器同士が通信することを表現したこの言葉が、再び脚光を浴びている。実現のために必要な技術が汎用化し、市場の大幅な成長が期待できる状況になったからだ。

 M2Mという言葉が登場したのは2000年ごろのことだ。それから十数年、徐々に活用事例は増えたものの、急激に拡大したとまでは言えない黎明期が続いてきた。期待が大きい分、現状で満足している人は少ない。「M2Mはまだ『本当に立ち上がるかどうか』という初期段階にあるといえる」(東京大学 先端科学技術研究センター 教授で新世代M2Mコンソーシアム 会長の森川博之氏)。