事故は語る
目次
-
発車直後に脱線した東武東上線、溶接部の欠陥で台車に破断寸前の亀裂
2016年5月18日、東武鉄道東上本線(東武東上線)の10両編成の上り列車が中板橋駅(東京都板橋区)を出発した直後、非常ブザーが鳴った。運転士は非常ブレーキを作動させて車両を停止。後ろを見ると床下から白煙が上がっていた。車掌が5両目を確認したところ、後台車がレールの右側に脱線していた。台車枠の大き…日経ものづくり
-
コンテナ船のボイラー爆発、命を奪った異常警報のリセット
ワックスで燃料こし器が目詰まり、背景に周知の不足と過信
2017年1月19日の23時ごろ(現地時間)、英国・フェリックストー港のコンテナ岸壁に着岸作業中のコンテナ船で補助ボイラーが爆発した。操機手1人が死亡、二等機関士1人が火傷で負傷した。重油系の燃料を別の燃料(マリンガスオイル)に切り替えたところ、それが低温環境下で目詰まりを引き起こし、ボイラー炉内…日経ものづくり
-
電動アシスト自転車のバッテリーが発火
海外設計品、結露への配慮甘く
2014年6月、東京都内において、充電中の電動アシスト自転車のバッテリーパックが発煙・発火するという事故が発生した。発火に気づいたユーザーはバケツに水を張り、炎を上げているバッテリーパックを浸漬。すぐに火は消え大きな被害には至らなかったが、周囲が焼損し、所有者は軽い火傷を負った。日経ものづくり
-
空荷のタンカーが溶接作業で爆発、「大丈夫」という思い込みが招いた死亡事故
2016年9月9日の夕方6時40分ごろ、和歌山県和歌山下津港を出港して三重県四日市市の四日市港に向かっていた回送中のケミカルタンカーの貨物タンクが爆発した。乗組員1人が死亡し、2人が重傷などを負った。死亡事故を招いたのは、ルールの不徹底とリスク軽視の安易な思い込みだった。日経ものづくり
-
原料の変化で想定外の配管腐食、近隣住民に避難指示まで出たプラント火災
2017年1月、旧東燃ゼネラル石油の和歌山工場(和歌山県有田市)で相次いで火災事故が発生した。同月18日に石油貯蔵に使っていた清掃中のタンク設備から発火。鎮火から3日後の22日午後、今度は潤滑油製造装置群で火災が発生した。小規模な爆発を伴ったその火災が鎮火したのは24日の朝だった。日経ものづくり
-
トロリー線切断で新幹線63本に遅れ、特異な位置での停車と接触不良で大電流
2017年6月21日、大雨のためダイヤが乱れていた東海道新幹線の京都~新大阪間で列車に電気を供給するトロリー線が切れる事故が発生した。上下線合計63本の列車に172~365分の遅れが発生、5万1000人の乗客が影響を受けた。原因は、トロリー線2本が並行する「エアセクション」への停車だった。日経ものづくり
-
乗り合いバスの運転者が走行中に意識不明に、安全停止するための自動運転技術に期待
2016年1月7日、東京都小金井市で片側1車線の道路を回送運行中の乗り合いバスが、沿道のアパートに衝突するという事故が発生した。この事故による死傷者はいなかったが、走行中に意識を失った運転者は病院に搬送されている。運転者の健康管理とともに、急病などで運転不能になった場合に安全にクルマを止める技術が求…日経ものづくり
-
シャフト破断でエレベーターが上昇、片側ブレーキだけでかごを保持できず
2015年12月29日8時30分ごろ、京都府福知山市内の地上4階建ての製剤工場でエレベーター事故が発生した。利用者が3階で降りた後、“かご”が上昇し続け、釣り合い重りが緩衝器を突き下げ停止したというものだ。かごを昇降させる巻上機のブレーキ部分のシャフトが破断し、かごを保持できなくなったのが原因だった…日経ものづくり
-
大停電引き起こした東電ケーブル火災、長期使用で蓄積した異物が短絡を誘発
2016年10月12日14時50分ごろ、埼玉県新座市内にある東京電力の地下送電設備で火災が発生。この影響で新宿区や豊島区、千代田区などを中心に東京都内で延べ58万戸が停電した。別の変電所経由で電力を供給したことで火災発生から約1時間後に停電は復旧したものの、地下設備の火災だったことから消火に時間がか…日経ものづくり
-
軽量化に伴う設計変更の影響を見誤る、電源異常で小型ロケットの打ち上げ失敗
超小型衛星を打ち上げる手段として開発された小型ロケット「SS-520 4号機」は、2段式ロケットである既存の「SS-520」をベースに、第3段などの新規追加と既存部分の改修が行われている。2017年1月15日、実証実験のために打ち上げられたが、第2段の点火前に不具合が発生して実験は失敗した。民生技術…日経ものづくり
-
白熱電球、風があれば短時間で発火、男児の命奪った投光器の火災事故
2016年11月6日の夕方、東京の明治神宮外苑で開催されていたアート関連のイベント「TOKYO DESIGN WEEK 2016」において展示物から出火、展示物の中で遊んでいた5歳の男児が全身にやけどを負うなどして死亡した。男児の父親を含む男性2人も軽傷を負った。展示物は、木製のジャングルジム状の枠…日経ものづくり
-
グローバル調達の落とし穴、知らぬ間に材料や業者が変更に
2014年6月、革靴を履いた30代の男性が乾いた路面で転倒し、右脇腹の打撲と右膝・右手への擦過傷を負うという事故があった。よくある軽微な事故のようだが、男性が履いていた革靴は買ったばかり。それにもかかわらず、購入から6日間に2回も滑って転倒していた。乾いた路面で短期間に2回も転倒するのは異常として、…日経ものづくり
-
「Galaxy Note7」のLiイオン2次電池が発火、大容量化と小型化で高まるリスク
発売直後から発火事故が相次いだ韓国Samsung Electronics社のスマートフォン「Galaxy Note7」。リコール対応後も事故の報告はやまず、発売開始からわずか2カ月足らずで製造・販売中止に追い込まれた。いまだに原因がはっきりせず、同社を含め関係各所での原因究明が続く。大容量化や小型化…日経ものづくり
-
消費者庁エレベーター事故報告書に残された課題、安全工学の基本から再発防止までの4テーマ
対応の遅れや甘い保守管理などが明らかとなって世間の耳目を集めた、東京都港区の「シティハイツ竹芝」のエレベーター死亡事故。2006年6月の事故発生から10年余りが経った2016年8月、消費者庁が独自の事故調査報告書を公表した。安全工学に詳しい佐藤国仁氏が、同事故が投げ掛けた課題と事故調査報告の課題を解…日経ものづくり
-
機械安全の原則に基づき、機械式立体駐車場の安全性を向上
国内に300万台近くあるといわれる機械式立体駐車場。機械式立体駐車場での死亡事故は、2007年度以降で少なくとも12件発生している。メーカーと設置者、管理者、利用者というさまざまな立場の人が関わる製品で事故を防ぐには、多面的な取り組みが不可欠だ。日経ものづくり
-
リスク軽視の設計・運用が招いた失敗の連鎖、天文衛星「ひとみ」、2カ月で運用断念
2016年3月26日、本格運用前の試験観測中だったX線天文衛星「ひとみ」との通信が途絶えた。観測対象を変えるため姿勢を変更して十数時間後のことだった。宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、それまでに届いたデータの分析を進めて機能回復を試みたが、主要な機器が破損しているとして同年4月28日に復旧を断念。…日経ものづくり
-
水圧で伸びる散水ホースが早期に破損 特殊な構造で生まれた強度の弱点
蛇口に取り付け、水を流すと約3倍の長さに伸びる散水ホースの破損に関する報告が相次いでいる。報告の多くは水漏れ程度の被害だが、急に破裂したという事例もあった。巻き取り式と比べて軽量で、コンパクトに収納できるという特徴を実現するため、同ホースが採用した特殊な構造が耐久性の劣化を招いていた。日経ものづくり
-
設計の工夫で誤使用の事故は防げる、安全装置の普及でコンロの事故が減少
ユーザーによる誤った使い方(誤使用)を原因とする事故は多い。しかし、誤使用が頻発する製品には設計面での改善の余地が大きいのも事実だ。このことを実証するデータが製品評価技術基盤機構(NITE)から発表された。ガスコンロの安全装置(Siセンサー)の普及に伴い、火災が大幅に減少しているのだ。日経ものづくり
-
コースター走行中に座席ロック解除、Oリング溝の加工不備が疲労破壊を招く
ローラーコースターの走行中、乗客を座席に拘束する器具のロックが外れる──。当事者にしてみれば、生きた心地がしなかっただろう。事故の直接的な原因は、あくまでロック機構部品の加工不備。とはいえ、設計や運用にも改善の余地はありそうだ。日経ものづくり
-
薬を誤飲する子どもが増加、遅れる日本での容器対策
子どもによる医薬品の誤飲事故が増えている。ここ数年、国内での事故件数は少なくとも年間8000件以上にも上るとみられ、中には中毒症状で入院に至る例もある。高齢化社会を迎えて家庭で医薬品を使う機会が増える中、誤飲の危険性は一層高まっている。欧米では早くから誤飲対策が講じられているが、日本はようやく対策に…日経ものづくり