オンリーワンの製品があれば、完成車メーカーはそれを使うしかない。日本、海外の問題ではなく、ほかに選択の余地はないからだ。オンリーワンを実現するカギは、技術力だけとは限らない。商品を投入する決断、思い切って投資する判断、浸透するまでじっくり育てる粘り。どれも海外メガサプライヤーに見習うべき要素だ。

 アイドリングストップシステムを組むためにスタータ/ジェネレータが欲しい、DCT(Dual Clutch Transmission)と組み合わせたハイブリッドシステムを組むために変速機の操作機構やデュアルクラッチが欲しい、2モータのハイブリッドシステムを組むために動力断続機構が欲しい…。

 日本の完成車メーカーがこれらの部品を欲しいと思っても、海外のメガサプライヤーから調達するしかない。日本のサプライヤーに製品がないのだから選択の余地はない。

 どうしてこんな差がついてしまったのか。原因は日本のサプライヤーと海外のメガサプライヤーの仕事の進め方の違いによる。海外のメガサプライヤーは自ら開発し、できたものを多くの完成車メーカーに売り込む。これに対して日本のサプライヤーは特定の完成車メーカーからの依頼、場合によっては指令に従って開発をすることが多い。売る先は、依頼したメーカーが優先になる。