目的・意図・背景を伝える

 では、若手が前向きに取り組むように仕事を指示するためには、どうすればよいでしょうか。以下の3点を伝えるように心がけましょう。

  • 1. 目的
  • 2. 意図
  • 3. 背景

 一つめの目的は、「何のためにするのか?」のことです。たとえば、若手に「データをまとめておいて」と言う際に、「これは、お客様に出す最終報告書に載せるデータだからね」と目的を説明したとします。すると、「そうか、大事な書類に反映されるのか」と理解し、その仕事に懸命に取り組む可能性が高くなります。

 二つめの意図は、「あなたにやってほしい理由」を指します。その人の実力を見込んでいるのであれば「○○さんなら、誰よりも上手にやってくれそうだから」、この仕事を通じて成長してほしいのであれば「初めての挑戦になるけど、これで一段、成長できると思うから」などと言えばよいのです。

 「あなた」を指名する意図を理解させれば、若手は意気に感じて取り組むはずです。「誰でもいいんだけど」「誰もいないんで、あなたでいいから」などと言うのは論外です。

 若手にやっかいな仕事を依頼したり、意外だと思われるアサインをしたりする場合は、特に意図を伝えることが重要です。上司や先輩の意図を若手にきちんと理解させないと、「妙な仕事を振られた」「やっかいなことを押し付けられた」と感じて、期待した成果が上がらない恐れもあります。

 三つめの背景は、仕事の背景やいきさつに関する説明です。目的や意図とは異なり、常に伝えなくてはいけないものではありません。若手が「どうしてこの作業があるのか」「なぜこんなややこしい状況になっているのか」といった疑問を抱きそうな場合に、背景説明が有効になります。

 こうした場合は、「契約上、こういうことになっているので、多少理不尽に思うかも知れないけれど、理解してほしい」「今回はこういう事態になったけれど、次までに状況を改善しておくので、なんとか乗り切ってくれないか」と可能な範囲でいいので、背景を説明することが大事です。それによって、若手に納得感が生まれるからです。