⑬ 必要な認定(技術基準適合証明など)を受ける

 販売するワイヤレス製品が表3に示す特定無線設備に該当する場合は,テレコムエンジニアリングセンター(TELEC)などの認定機関から,電波法に定める技術基準にワイヤレス製品が適合しているという証明を受けなければならない。この証明方法には,無線設備を1台ずつ試験して1台ごとに証明する技術基準適合証明と,無線設備の工事設計ごとに1台のサンプル機器を用いて試験を行い,当該工事設計について認証を行う工事設計認証がある。これらの証明を受けた無線設備は,国内であれば誰でも無線局の免許なしで使用できる。

 2004年1月から技術基準適合自己確認制度が設けられ,機器メーカーなどが技術基準適合に関して自己確認が行えるようになった。携帯電話やPHS陸上移動局,コードレス電話,デジタル・コードレス電話がその対象になっている。この制度によって機器メーカーなどは,登録証明機関による技術基準適合証明や工事設計認証,あるいは自己確認のいずれかの選択ができるようになった。

 また,無線システムによっては電波法の適合試験認証以外に,他の認証を受けなければならないものもある。例えばBluetoothのような無線システムでは,電波法の適合試験認証や電気通信端末機器審査協会(JATE)の有線電話認証試験の審査を受けるほかに,Bluetoothのロゴ認証を取得しなければならない。Bluetooth搭載製品を販売しようとする機器メーカーは,設計や評価が終了した段階で,BQRB(Bluetooth Qualification Review Board,ロゴ認証を管理する最高機関)により認定されたBQTF(Bluetooth Qualification Test Facility,公認テスト・サイト)に,Bluetooth製品とロゴ認証規定で定められた申請書を添えて試験を依頼する。BQTFは試験項目の判定試験を行い,その結果を機器メーカーへ回答する。全項目をパスしたら,その結果(Compliance Folder,適合性宣言ファイル)をBQB(Bluetooth Qualification Body,公認判定者)に送り,ロゴ認証判定を依頼する。申請内容が受理されるとWWWサイト上のQPL(qualification product list)に登録される。最後に,機器メーカーに登録通知(Listing Notice)を送付してロゴ認証取得が完了する。

⑭ 認定や量産を意識して効率よく生産  できる検査体制や量産体制を整える

図17 製造工程や検査治具などの確認協議
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 量産現場では,認定や「⑪測定器/製品テスタ/治具などの選択や設計を行う」を基にしながら,効率よく量産や検査を行うための体制を整える(「設計で製造を考慮」参照)。 機器メーカーでは製造ラインを効率よく稼働するために,その製品を生産するためのライン変更を量産寸前に行い,短期間で予定した量産数量を製造できるようにスケジュールを決定する。また,製造ラインに置く検査治具なども現物を準備し,製造現場の意見を聞きながら事前の確認協議を行う(図17)。これらの工程会議の内容や治具などは,機器メーカーの競争力を決定付ける製造ノウハウであり,企業秘密でもある。